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インプラントは虫歯になるのか?

インプラントは虫歯になるのか?

入れ歯やブリッジとは異なり、インプラントは人工の歯を顎の骨に埋め込みます。そのため、歯は人工のものではあるものの、口腔内は天然歯が生えていた時と似たような状態に近づきます。

では、インプラント治療をすれば虫歯になることはないのでしょうか?

今回はそんなちょっと気になる疑問にお答えするとともに、インプラント治療後に起こる可能性のあるトラブルやメンテナンス方法についてご紹介します。

インプラントは虫歯にはならない

まず、結論から言うと、インプラント自体が虫歯になることはありません。その理由はインプラントの構造にあります。

インプラントの構造を簡単に説明すると、まずボルト状の人工歯根を顎の骨に穴をあけて埋め込みます。そして、顎の骨と人工歯根が結合していることが確認できれば、型取りをして人工歯を人工歯根に取り付けるのです。

人工歯根は基本的にチタンや当院で使用しているチタンとジルコニアでできたストローマン社製Roxilid SLAインプラントのような、チタン合金で作られています。そして、人工歯についてはセラミックやセラミックとプラスチックから成るハイブリットセラミック、銀歯や金歯など様々な種類があります。

ただ、おわかりのとおりいずれも人工的かつ丈夫な素材で作られていますので、天然歯が虫歯になる時のようにエナメルしつかや象牙質からカルシウムやリンが溶け出す…といったことが起こらないのです。

インプラント治療後に起こり得る4大トラブル

インプラントを形成するの素材の特性上、インプラントが虫歯にならないことはおわかりになったかと思いますが、だからといってインプラント治療後は口腔内のトラブルが全くなくなるというわけではありません。

インプラント治療後は、自然歯の時と同じようにメンテナンスをしっかりとする必要があります。それは、インプラントそのものに虫歯はできなくても、インプラント歯周炎をはじめ、インプラント周辺の歯や歯茎、インプラント本体など様々な口腔内のトラブルが発生する可能性があるからです。

ここからは、そんなインプラント治療後に起こり得るトラブルのうち、特に起こりやすい4つのトラブルについてご説明していきます。

1.インプラント周囲炎

インプラント治療後に最も注意したいトラブルといえるのが「インプラント周囲炎」です。インプラント周囲炎は、インプラントやその周辺が歯周病に感染することで起こります。インプラントの歯は人工歯ですが、その周囲の歯肉はもとから自分の身体にある組織ですので、そこに細菌が入り込むことで、炎症が起こってしまうのです。

インプラント周囲炎が起こる主な原因は、インプラント治療後に口腔内のケアを怠ったり、喫煙をするなどの不摂生。また、歯ぎしりや食いしばりなどがあるとさらに周囲炎の悪化へと繋がります。

インプラントは人工歯なので虫歯はできないですが、そのインプラントの周囲はあくまでも自分の身体、生まれ持った天然の組織であることを忘れないようにしましょう。

【関連記事】インプラントの周囲炎とは?原因や歯茎のケアの方法を紹介

2.インプラント周辺の歯が虫歯になる

インプラント周辺の歯が虫歯になる

たとえばいわゆる「オールオン4」呼ばれる治療法のように、全ての歯をインプラントにする場合であれば、全ての歯が人工歯になるわけですから、虫歯になることはないといえます。

しかし、抜けてしまった歯だけをインプラントにする場合は、元の天然歯はそのまま口腔内に残っているわけですから、インプラント周辺の歯が虫歯になってしまう可能性はあります。例えば人工歯と天然歯の境目に歯垢が付いたままになっていると、人工歯の方影響はなくとも、天然歯が虫歯になる可能性は十分にあるでしょう。

こちらも、インプラント周囲炎と同様に、たとえインプラント治療をしてもそれ以外の部分は生まれ持った組織ですので、これまでと同じように、あるいはそれ以上に口腔内のケアに気を配りたいところです。

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3.歯茎の腫れ・出血

インプラント治療では、手術の際に歯茎を切開しますので、身体の他の部分と同様に、腫れや出血が起こる可能性があります。術後の経過が順調であれば、時間の経過とともに腫れや出血は治まりますが、いつまでも腫れや出血が続いたり、悪化している場合は歯周病などの問題が起こっている可能性がありますので注意が必要です。

4.インプラントが取れる・破損する

先にお伝えしたとおり、インプラント治療では顎の骨に穴をあけ、そこに人工歯根を埋め込み、顎の骨と人工歯根がしっかりと結合してから、人工歯根に人工歯を連結します。

しかし、人工歯根が顎の骨としっかり結合されてない状態のまま人工歯を連結してしまっていたり、人工歯根と人工歯がしっかりと連結できていないと、インプラント取れてしまったり破損してしまうことがあります。

そのため、インプラント治療の際は信頼できるクリニック選びも大切です。

また、インプラント周囲炎によってインプラントが取れてしまうこともあるため、やはり日頃のメンテナンスには十分に気を遣う必要があります。

インプラントの寿命

インプラントは虫歯になりませんし、人工歯根はチタンやチタン合金でできているため、天然歯よりも寿命は長いともいえます。

しかし、だからといってインプラントには寿命がないわけではなく、厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」歯科インプラント治療のための Q&Aによると、インプラントの平均寿命は10年~15年以上とされています。

ただ、これはあくまでも「平均」寿命ですので、10年より短い期間しかインプラントが持たなかったという方もいれば、20年以上インプラントを使用出来ている方もいます。

先にお伝えしたようにそもそも治療の段階で十分な治療ができていなかったことでインプラントが長持ちしないケースも考えられますが、適切なインプラント治療を受けているのであれば、寿命を左右するのはメンテナンスの質なのです。

ちなみに参考までに、インプラント以外の治療法の平均寿命については、入歯が約4年~5年、ブリッジが約7年~8年程度だといわれています。

インプラント治療後のメンテナンス

先にご紹介したインプラント治療後に起こりがちなトラブルを防ぎ、さらにインプラントの寿命を延ばすためには、インプラント治療後の適切なメンテナンスが必要不可欠です。

ここからは、手術直後のメンテナンス、日々のメンテナンス、定期的なメンテナンスの3つのケースに分けて、それぞれの適切な方法についてご紹介していきます。

手術直後のメンテナンス

まず、インプラント治療では手術を行うことになりますが、その手術直後のメンテナンスについてです。

インプラントの手術直後は、まだ顎の骨にインプラントがしっかりと定着しておらず、時間を掛けて定着するのを待つ状況にあります。そのため、なるべく刺激を与えず、そっとしておくことが大切です。例えば、インプラント治療を行った部分を使って硬い食べ物を噛んで刺激をあたえたり、煙草を吸って血管を収縮させることなどは厳禁です。激しい運動や飲酒も控えましょう。

特に術後3ヶ月間は、トラブルが置きやすい時期のため、歯科医師の指示に従ってきちんと薬を服用したり、口腔内を常に清潔に保つことを意識してください。

日々のメンテナンス

日々のメンテナンス

これは天然歯でも同じことが言えますが、インプラントの寿命を延ばすためには、日常的なメンテナンスが最も大切といっても過言ではありません。

「手入れを楽にしたくてインプラントをしようか考えているのに…」と不安を覚える方もいるかもしれませんが、インプラントにしたからといって特別難しいメンテナンスをするわけではありません。

メンテナンスの方法は、自然歯と同じで、きちんとブラッシングをする、歯間ブラシやデンタルフロスを利用するといったことだけです。一般的に歯ブラシのみの使用では歯垢は全体の約60%程度しか落ちないといわれていますが、歯ブラシに加え歯間ブラシやデンタルフロスを使用しすることで、歯垢は約80%程度まで落とすことができるといわれています。

これまで歯ブラシしか使ってこられなかった方にとって、歯間ブラシやフロスを使うことは最初は少し抵抗があり面倒に感じるかもしれません。しかし、習慣化してくると、反対に歯ブラシだけでは口腔内がスッキリせず、物足りなさを感じるようになってくるはずです。

インプラントの寿命はもちろん、天然歯の寿命を延ばすためにも日々のメンテナンスをしっかりと行いましょう。

定期的なメンテナンス

インプラント治療がひととおり終わっても、天然歯と同様、歯科医院で定期的なメンテナンスを受けるようにしましょう。

インプラントのメンテナンスは、基本的に天然歯と同様に、目視などで行う検診やクリーニングが中心となります。目視で確認できない顎の骨の状態などを確認する場合にはレントゲン撮影を行うこともあります。

また、ネジ式になっていて取り外しができるタイプのインプラントを使用している場合は、数ヶ月や1年に1回といった頻度でボルト部分に溜まった歯垢などを除去します。

インプラント、天然歯ともに最も重要なことは自宅での日々のメンテナンスですが、噛み合わせや骨の状態のチェックや歯石の除去など、自宅でのメンテナンスだけでは対応しきれない部分があります。自宅でのメンテナンスに自信がある方や、目視では何の問題も感じられない場合であっても、歯科医院での定期的なメンテナンスは欠かさず行いましょう。

【関連記事】インプラントの安全性やリスクを解説!

まとめインプラント治療後に違和感を感じたらすぐにご相談を!

ここまでお伝えしてきたとおり、インプラントが虫歯になることはありませんが、インプラント周囲炎や人工歯と隣り合う自然歯が虫歯になるといったトラブルが起こる可能性は十分あり得ます。

インプラントの治療後は、日々のメンテナンスをしっかりと行い、少しでも違和感を感じた場合にはすぐに歯科医院へ相談をしましょう。

当院では歯や顎の骨の状態を立体的かつ詳細に捉えることができる歯科用CTの導入。そのため、通常のレントゲンに比べはるかに正確な診断が可能です。

原因が掴みにくいトラブルについても早期に発見ができる可能性がありますので、インプラントだけではなく、歯のトラブルでお困りの際は是非お気軽に当院までご相談ください。

横浜のインプラント治療なら「秋元歯科クリニック」

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