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インプラントの周囲炎とは?原因や歯茎のケアの方法を紹介

インプラントの周囲炎とは?原因や歯茎のケアの方法を紹介

インプラント治療後のメンテナンスを怠った場合、インプラント周囲炎を発症する可能性があります。最悪の場合、インプラントが脱落したり、原因菌が全身に回ったりするため、注意しなければなりません。

今回はインプラント周囲炎の原因や、インプラント治療後の歯茎ケアの方法を紹介します。これからインプラント治療を行う方や、治療を終えた方は今後のメンテナンスにお役立てください。

そもそもインプラントとはどのような治療?

インプラントとは、歯が抜けた部分に、インプラント体というチタン製のネジのようなものをあごの骨に差し込み、それを土台に上から人工物の歯をはめ込んで行う治療法のことをいいます。

インプラントと差し歯の区別がつかない方が多いですが、両者はまったく異なる治療法です。インプラントが人工的に歯の土台を設けて人工物の歯を被せる治療法で、差し歯は欠けた歯の上の部分に、金属性やプラスチック製の土台を入れ、その上に差し歯をつけます。

人のあごの骨に土台を作るものがインプラント、欠けた歯に土台を作るものが差し歯と考えるとよいでしょう。

インプラントのメリットは、義歯をしっかりと固定できる点ですそのため、部品の破損やネジの緩みなどはほとんどありません。また、見た目が美しく、自分の歯で噛む感覚がある点もインプラントの魅力です。

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インプラント周囲炎とは?

インプラント周囲炎とは?

インプラント周囲炎とは、インプラントの周辺組織に炎症が起こる疾患のことです。わかりやすくいえば、インプラントの周辺で起こる歯周病であり、炎症が歯槽骨にまで広がるなど重症化することもあります。

インプラントは、天然歯と比較して炎症への抵抗力が低いことが欠点です。そのため、一度細菌感染が発生すると急速に骨吸収が進み、自覚症状がないまま症状が進むケースが多いといえます。

また、インプラント周囲の粘膜のみに炎症が起こるインプラント周囲粘膜炎というものもあります。重症化を防ぐために、早期に適切な対応が必要です。

インプラント周囲炎の主な症状と進行状況

インプラント周囲炎の主な症状としては、歯茎の腫れや出血、そしてインプラントの脱落などが挙げられます。

しかし、初期段階でインプラント周囲炎に気付くことができれば、インプラントの脱落まで症状が悪化することはありません。せっかく入れたインプラントの脱落は、絶対に避けたいですよね。

そこでここからは、インプラント周囲炎の進行状況を解説します。インプラント周囲炎の段階ごとの症状を把握することで、早期発見につなげられるように確認しておきましょう。

正常な状態

まず、インプラントが正常な状態で埋入されているときには、歯茎に腫れや出血などはありません。また、インプラントと歯茎のあいだにある歯周ポケットも、1~2㎜程度と浅い状態です。

インプラント治療後も、歯のブラッシングなどの口腔ケアを行っていれば、このような正常な状態が保てます。

インプラント周囲粘膜炎

インプラント周囲炎の初期段階を、インプラント周囲粘膜炎とよびます。

インプラント周囲粘膜炎の主な症状は、インプラント周辺の歯茎の赤みや腫れなどです。また、歯を磨いた際に出血が起こることもあります。なお、この段階では、まだ歯茎上部の粘膜にしか症状は現れません。

インプラント周囲粘膜炎は、ほとんど自覚症状がなく、自覚したときには非常に悪化していることが多い疾患です。したがって、歯茎からの出血に気付いた際は、見過ごさずに歯科医院に相談しましょう。

インプラント周囲炎

インプラント周囲粘膜炎が進行し、炎症が粘膜だけではなく歯槽骨まで広がった状態が、インプラント周囲炎です。

インプラント周囲炎の症状としては、歯茎の腫れや出血にくわえて、歯茎から膿が出たり、歯茎が下がったりすることなども挙げられます。

また、インプラント周囲炎を発症する頃には、歯茎の腫れが悪化したことによって歯周ポケットが深くなり、さらに歯垢や膿が溜まりやすくなります。

そして、インプラント周囲炎のおそろしいところは、炎症が歯槽骨にまで広がることによって歯槽骨が溶けてしまうことです。歯槽骨が溶けると、インプラントを支える骨が足りなくなるため、インプラントのぐらつきや脱落が起こります。

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インプラント周囲炎かどうかのチェック項目

インプラント治療を受けた方のなかには、自身がインプラント周囲炎にかかっているのかどうかを知りたいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。

そこで、歯科医院を受診する前に、自身でインプラント周囲炎を発症しているのかどうかを確認できるチェック項目をご用意しました。以下のチェック項目に当てはまる状況が多かった方は、一度歯科医院を受診することをおすすめします。

【インプラント周囲炎のチェック項目】

  • 歯を磨く際に出血することがある
  • 喫煙者である
  • 糖尿病患者である
  • 頻繁に飲酒することがある
  • 歯周病にかかったことがある
  • 歯ぎしりする癖がある
  • 現在入れているインプラントに違和感がある
  • 治療後に歯科医院でメンテナンスを受けたことがない

インプラント周囲炎の影響

インプラント周囲炎は、歯周病菌が原因菌となって発生する疾患です。歯周病菌が増えることで、ほかの歯にも炎症が起こりやすくなり、歯周病が発生する可能性があります。

ほかにも、インプラントがぐらつくことで噛み合わせに影響するため、ほかの歯への負担が大きくなります。

いずれの場合も、周囲の歯への影響が大きいため、インプラント周囲炎は早期発見と早期治療が重要です。

インプラント周囲炎になりやすい原因

インプラント周囲炎になりやすい原因は次のとおりです。

【インプラント周囲炎になりやすい原因】

  • インプラント後のメンテナンス不足
  • 歯周病の治療不足
  • 生活習慣・既往歴・癖などの影響

インプラント後のメンテナンスが不足している

インプラント周囲炎になりやすい原因の一つが、インプラント治療を行ったあとの口内のメンテナンス不足です。

インプラント周囲炎は、口内が不衛生な状態となり、歯周病菌が増殖することで発症します。

口内が不衛生になる主な原因は、インプラントの周囲に溜まった歯垢です。歯垢のなかで細菌が繁殖し、その細菌が発する毒素によってインプラント周辺の組織が炎症を起こします。

つまりは、ブラッシングやマウスウォッシュなど、日々の口内ケアが行き届いていないために発生していると考えられます。

また、インプラント周囲炎は、歯科医院の定期検診を忘れたために発症に対応できないケースもあるため、注意が必要です。

インプラントのメンテナンスが必要な理由は?費用の目安 」の記事でも、インプラント治療後のメンテナンスについて詳しく紹介しております。

インプラント後のメンテナンスが不足している

歯周病が完治しないまま、インプラント治療をした場合も、インプラント周囲炎が発生しやすくなります。歯周病の治療が徹底的に行われなければ、インプラントが細菌に感染しやすくなる可能性があるためです。

歯周病は一般的な疾患ではあるものの、治療が難しいことが特徴です。歯周病の治療では、できるだけ歯を残せるように治療が行われますが、やむを得ず抜歯が必要になる場合は、インプラント治療でほかの歯を守ります。

ただし、歯周病を徹底的に治療しなければ、インプラントが細菌に感染するリスクが高くなってしまいます。

歯周病を完治させてから、インプラント治療を実施することが原則であることを理解しておくとよいでしょう。

生活習慣・既往歴・癖などが影響している

生活習慣や癖などが影響して、インプラント周囲炎が発生するケースもあります。

たとえば、喫煙者はインプラント周囲炎を発症する可能性が高いです。タバコに含まれる有害物質であるニコチンや一酸化炭素によって、血管が収縮したり血液循環が悪くなったりするため、インプラント周囲炎の発症リスクが高まるのです。」

また、糖尿病の合併症として歯周病・虫歯があります。血糖値のコントロールが正常な状態ではないと、細菌への抵抗力が落ちたり、傷口が治りにくくなったりするなどの影響があるためです。くわえて、貧血の場合も免疫力が低下するため、術後にインプラント周囲炎が起こりやすくなります。

さらに、歯ぎしりや食いしばりなどによってインプラントに過度な負担が掛かる場合や、口呼吸によって口内の細菌が多い場合なども、インプラント周囲炎の原因となるため、対策が必要です。

インプラント周囲炎になってしまったら?

インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎にかかった場合、自然治癒することはないため、原因に応じた適切な治療が必要です。

インプラントの周りの炎症を少しでも感じた場合は、すぐに歯科医院を受診しましょう。特に、インプラント周囲粘膜炎の時点であれば、症状が悪化してインプラント周囲炎になることを防げる可能性があります。

インプラント周囲粘膜炎の場合は、歯周ポケットや歯のクリーニング、そして口内衛生の指導などを実施します。また、メンテナンスのために来院する間隔を狭めるよう指示されることもあるでしょう。

インプラント周囲炎になっている場合は、機械を使った歯垢や歯石の除去、薬剤を使った消毒洗浄が行われます。ただし、状況次第では、局所的または漸進的な抗菌療法や、インプラントを除去するケースもあります。

インプラント後の歯茎ケアのポイント

インプラントの周囲炎とは?原因や歯茎のケアの方法を紹介

インプラント周囲炎を防ぐためにも、インプラント後の歯茎ケアは重要です。歯茎ケアのポイントは、次の4点です。

  • 丁寧なセルフケアをする
  • 歯科医院で定期的なメンテナンスを受ける
  • 禁煙する
  • 生活習慣を整える

ここからは、それぞれの歯茎ケアのポイントを詳しく紹介します。

丁寧なセルフケアをする

インプラント周囲炎を防ぐ歯茎ケアのポイントの一つが、丁寧なセルフケアです。

日々の生活のなかで行う歯磨きやマウスウォッシュを丁寧に行うことで、歯に付着している歯垢を除去できるため、口内の清潔を保てます。

また、デンタルフロスを用いて歯間の歯垢を取り除くことも有効です。

歯科医院での指導によって正しいブラッシングを習得することで、セルフケアの質を高められるため、毎日実践して歯の健康を維持しましょう。

歯科医院で定期的なメンテナンスを受ける

インプラント後の歯茎ケアを行うために、歯科医院での定期的なメンテナンスを受けましょう。セルフケアは重要ですが、それだけでは落としきれない汚れがあるためです。

術後の経過が良好であるからといってメンテナンスを怠ると、汚れが溜まり、インプラント周囲炎の発症リスクが高まります。

インプラント後は担当医の指示に従い、メンテナンスへ通うことが大切です。定期メンテナンスでは、歯垢や歯石にくわえて、インプラント後の歯やそのほかの歯の状態を確認できるため、必要に応じて処置や指導を受けられます。

セルフケアを並行しながら、歯科医院に通うことで、歯の健康を維持できるでしょう。

禁煙する

インプラント後の歯茎ケアで重要視されることが禁煙です。

前述したとおり、タバコはインプラント周囲炎を発症しやすい原因の一つです。場合によっては、インプラントが脱落することもあるため、注意しなければなりません。

インプラント周囲炎を防ぐことを優先する場合は、歯科医院への相談や、禁煙外来の受診も大切です。

生活習慣を整える

インプラント後の歯茎ケアのために、生活習慣を整えることも重要です。

インプラント周囲炎は、貧血や糖尿病が原因で発症するケースもあります。貧血による組織の酸素欠乏や糖尿病が、傷口の治癒や骨結合に悪影響を及ぼすケースがあるためです。

したがって、栄養のバランスが取れた食事を取り、生活習慣からくる持病をケアしましょう。また、歯垢は食事の回数に比例して形成されやすくなるため、時間を決めて食事を取るようにしてください。

さらに、食べ物をよく噛むことで唾液が増えるため、口内に汚れが残りにくくなります。こちらの方法も、ぜひ実践してみてください。

インプラント周囲炎とはインプラント周辺で起こる歯周病のような疾患のこと

いかがでしたでしょうか。今回は、インプラント周囲炎の原因や歯茎ケアの方法を紹介しました。

インプラント周囲炎は自覚症状が乏しいため、気付いたときには症状が進行しているケースがあります。日々のケアと定期的な歯科医院でのメンテナンスで、インプラント周囲炎の発症を防ぐことが大切です。

ブラッシングや歯間ブラシを使ったセルフケアはもちろん、禁煙や生活習慣を整えることなどもインプラント周囲炎を防ぐために効果的でしょう。

秋元歯科クリニックでは、明瞭な料金体系と経験豊富な専門ドクターにより、安心してインプラント治療が受けられます。

インプラント治療への相談にも丁寧に対応するため、インプラント治療にご不安を感じられる方は、いつでもお問い合わせください。

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