オールオン4治療にかかる費用の目安とインプラントとの違いについて
インプラント治療を検討されている方に向けて、オールオン4治療の費用についてご紹介します。
インプラント治療は高額な費用になることは事実です。「費用を抑えたい」「オールオン4をしたいけれど費用が気になる」と考える方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、オールオン4と通常のインプラント治療について、費用や違いを解説します。また支払い方法もご紹介しますので、費用面でインプラントを悩まれている方の参考になるはずです。
目次
オールオン4とは
まず「オールオン4」とは、4～6本のインプラント体によってすべての人工歯を義歯にできる治療のことです。
従来のインプラント治療では、すべての歯を人工歯にする場合、1本1本顎の骨にインプラント体を埋入する必要があります。最大で28本も埋入しなければなりませんでした。
しかしオールオン4であれば、インプラント体の埋入は4～6本で構いません。1本のインプラント体が複数本の人工歯を支える形です。
つまり従来の方法に比べて、顎の骨に埋入されるインプラント体の本数が少なくなります。そのため患者様への身体の負担が少なくなるメリットのある治療方法がオールオン4です。
関連記事：オールオン4のメリットデメリット・費用など知っておきたい基礎知識
オールオン4の費用相場はいくらか？
それではオールオン4の費用相場は一体どのくらいなのでしょうか。一般的なインプラント治療費と比較しながら見ていきましょう。
オールオン4を使用しない全顎のインプラント治療費
一般的には通常のインプラントを全顎に適用した場合、480万円～960万円ほどだとされています。オールオン4を使用せず全顎のインプラント治療を受けた場合の治療費は、1本あたり「32万8,000円～39万9,000円」が平均です［1］。
ただし検査費用や治療計画作成費、施術費用、施術後の検査費用などもすべて含まれた価格となっています。つまり治療全体にかかる費用も含まれているということです。
そのためすべての歯をインプラントにしたとして、「平均費用×28」では算出できません。結論として、約500～1,000万円ほどで全顎をインプラントにできることになります。
関連記事：インプラント治療の費用相場は？
オールオン4を使用した全顎のインプラント治療費
オールオン4を使用して全顎をインプラントにした場合の費用は、400万円前後が平均的です。オールオン4では埋入するインプラント体の本数が少ないため、通常の治療よりも費用が割安となります。
通常では1,000万円ほどかかる可能性もありますが、オールオン4を使用すると半額以下で収まることもあるでしょう。口腔内の状況により多少変動する可能性もありますが、通常のインプラントよりも費用を安く抑えられる可能性が高いはずです。
歯1本あたりの金額の違い
通常のインプラントとオールオン4を使用した場合での歯1本あたりの費用の違いは、13～19万円ほどです。
オールオン4の費用は埋入するインプラント体の本数により変わります。そのため費用の違いにも幅があることは致し方ないことです。
しかし歯1本あたりの費用を算出すると、平均的に13～19万円ほどオールオン4の方が安くなると考えられます。
オールオン4のメンテナンス費用
オールオン4の治療後に欠かせないメンテナンス費用は、1回あたり3,000～10,000円です。
メンテナンスはインプラントを健康に維持するために欠かせません。歯科医院にて噛み合わせの確認やインプラントの調整、レントゲン検査、クリーニングなどを受けて口内の健康を保ちます。またブラッシング指導も受けられるため、セルフケアの質向上にも役立つでしょう。
メンテナンス費用は歯科医院により違いがあります。しかし多くの場合で10,000円を超えることはないでしょう。もし半年に1回のメンテナンスを10年受けたとすると、6万円～20万円となります。
オールオン4で費用を抑えられる理由
通常のインプラント治療に比べ、オールオン4では費用を抑えられます。なぜ費用が抑えられるのか、3つの理由を解説します。
①インプラントを埋入する本数が少ないから
まずは埋入するインプラント体の本数が少ないことが大きな理由です。インプラントを埋入するには、時間や労力がかかります。また必要とするインプラント体の本数も自然と多くなるものです。
その点、埋入されるインプラント体の本数が少ないオールオン4では、時間・労力・必要なインプラント体とすべてを抑えられます。結果的にトータルコストを抑えられるでしょう。
②治療と通院の回数が少ないから
通常のインプラント治療よりも、治療と通院の回数が少ないことも費用を抑えられる理由のひとつです。
全顎に1本1本インプラントを入れると考えてみてください。1度の手術では患者様への負担が大きくなるため、通常は2～3回にわけて手術が行われます。そのため1回ごとに手術費用や材料費が発生します。
しかしオールオン4であれば、基本的に手術は1回だけです。したがって治療の回数・通院の回数ともに少なくなり、費用面・身体面ともに負担が軽減されます。オールオン4を使用すれば、歯科医院への通院回数が減るとともに費用も安く抑えられます。
③基本的に骨造成手術が必要ないから
オールオン4の費用が安く抑えられる理由として、「骨造成手術」の必要性がないこともあげられます。一般的なインプラント治療では、骨の量が不足していた場合に骨造成手術が行われます。
骨造成手術とは不足した骨を増やすための外科手術です。高い技術力が必要であったり、追加費用が必要であったりする手術であり、必要なければ費用を大幅に削減できることもあります。
オールオン4では骨の量が多い部分を選択してインプラント体を埋入する仕組みです。そのため基本的に骨造成手術の必要はありません。
結果的に「通常のインプラント＋骨造成手術」を行う場合に比べて、オールオン4では費用を抑えやすくなります。
治療費が安いオールオン4の注意点
オールオン4は一般的なインプラントに比べて、費用が安いとの魅力があります。しかし注意するべき点もあるため、事前に注意点を知ってから治療を受けるかどうかの判断をしてください。
①マイナーなインプラントが使用されている
オールオン4ではあまり一般的ではないインプラントが使用されることがあります。インプラントメーカーは世界中に100以上ありますが、日本で認可を受けているメーカーは多くありません。そして認可を受けていないメーカーは、日本での実績が少なく安全性が確立されていない不安があります。
オールオン4治療の費用が大幅に安い場合は、マイナーなインプラントを使用しているかもしれません。インプラントによってはトラブルの事例も多くなるため、どのようなインプラントで治療が行われるか確認しておくことは重要です。
②海外でインプラント手術をしなければならない
治療費が安いオールオン4の中には、インプラント治療のために海外まで行かなければならないケースもあります。日本よりも治療費用が安い海外に行くから、治療費が安くなる仕組みです。
海外で手術を受けるとなると、言語の壁や技術力の違いなどから、トラブルが起こる可能性が高まります。また渡航のための費用が必要となるでしょう。
そのためトータルコストは日本の一般的なインプラント手術と変わらないかもしれません。極端に費用が安いオールオン4には海外での手術のリスクがあることを知っておいてください。
③治療費用の一部だけが明示されている
「オールオン4の費用が安い」と思われたら、すべての費用が明示されているか確認しましょう。中には治療費用の一部だけを明示していて、その他、追加費用がかかるケースも見られます。
患者様にとっては、明示された費用が安ければ「安く治療が受けられる」と思われるものです。意図して一部の費用だけを明示している歯科医院は、患者様に誤解を与えているといえるでしょう。
治療にかかる費用のすべてが明示されているか、事前に歯科医院に問い合わせるなど慎重な対応が必要となります。
オールオン4における治療費の支払い
オールオン4の費用は比較的安く抑えられますが、やはり治療費としては高額です。しかし次のように支払い方法を工夫すれば、金銭的な負担を少なくしながら治療が受けられるでしょう。
医療費控除の条件について
オールオン4の治療を受けた場合、「保険金による補填金額を差し引いて10万円以上である［2］」との条件を満たせば医療費控除を受けられます。該当する期間は「1月1日～12月31日まで［2］」で、「生計を一にする医療費支払い［2］」が対象です。
つまり生計を同じくする世帯内で10万円以上の支払いがあったなら、ほとんどの場合で医療費控除が受けられます。確定申告をすれば所得税の金額が少なくなるため、オールオン4の費用を間接的に抑えられる方法です。
デンタルローンについて
オールオン4治療ではデンタルローンも利用できます。利用できれば治療費用を分割にでき、1回の支払い負担を軽減可能です。
もし分割払いを希望されるなら、デンタルローンの利用も視野に入れてみてください。
関連記事：インプラント治療を受ける際に組めるデンタルローンとは？
オールオン4と通常のインプラントの違い
オールオン4と通常のインプラントには、費用以外に次のような違いがあります。
違い1：審美性の高さ
オールオン4は統一感のある仕上がりにできるため、通常のインプラントより審美性が高くなります。通常の方法では歯並びが影響したり、複数回にわけて治療を行う場合、上部構造の見た目がバランス悪くなったりすることもあるでしょう。
オールオン4では複数本の歯を同じ外観に仕上げられるため、天然歯に近い仕上がりとなり審美性に優れます。
関連記事：歯がボロボロになる原因は？治療法や費用についても解説
違い2：骨造成の必要有無
骨造成手術の必要がないことも大きな違いです。
通常のインプラント治療では、骨が薄い部分・少ない部分に対して骨の量を増やす「骨造成治療」が行われることがあります。しかしオールオン4であれば骨が充実している部位を狙って治療できるため不要です。
違い3：治療期間の長さ
治療期間の長さにも違いが現れます。
オールオン4では手術をした当日に仮歯が入り咀嚼ができるようになる「即時荷重」が適用されます。通常のインプラントでは上部構造がセットされるまで数ヶ月かかることもあり、治療期間を短縮したいと考える方にも適した治療法です。
オールオン4は費用を抑えながら多くのメリットを感じられる
いかがでしたでしょうか？
この記事を読んでいただくことでオールオン4の費用についてご理解いただけたと思います。オールオン4は通常のインプラントに比べて、費用を抑えられるにもかかわらず、尚且つメリットの多い治療方法です。
［1］竹本和代ほか著. 「いい歯科医インプラント治療医」を選ぶ！2013. 朝日新聞出版社 2013; 188
［2］参照：国税庁：No.1120医療費を支払ったとき（医療費控除）
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