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高齢者がインプラントを行う際の条件と注意点を徹底解説

高齢者がインプラントを行う際の条件と注意点を徹底解説

歯を失ったことで、入れ歯を作るかインプラント治療を受けるか、お悩みの高齢者もいらっしゃるのではないでしょうか?インプラント治療は外科手術をともなうため、躊躇する方も多いでしょう。

そこで本記事では、高齢者がインプラント治療を受ける際に、押さえておきたい注意点を解説します。インプラント治療を受けられる条件も紹介するので、治療を受けるか迷われているご高齢の方は、ぜひ最後までご覧ください。

高齢者でもインプラント治療はできる?

インプラントとは、歯を失った部分に人工歯を埋め込む治療のことです。基本的に20歳以上であれば治療を受けられますが、口内の状態や持病の種類によっては、治療が受けられないこともあるので、注意しなければなりません。

しかし、インプラント治療は20歳以上で治療が受けられるとはいっても、何歳まで受けられるのかは気になるところですよね。

厚生労働省が平成28年度に行った「歯科疾患実態調査」によると、インプラント装着者の割合は「65~69歳」の方が4.6%と、もっとも多いことがわかりました。次いで「70~74際」の年代が3.7%、「75~79歳」の年代が3.4%と、インプラント治療を受けた上位3つの年代を、高齢者が占めていることがわかります。

これらを踏まえると、高齢者の定義である准高齢者「65~74歳」と、高齢者「75~89歳」の方は、年齢にかかわらずインプラント治療を受けられるといえるでしょう。

参照元:平成28年歯科疾患実態調査
(URL:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/62-28-02.pdf)

関連記事:インプラント寿命が短くなる原因とは?寿命を延ばす方法・歯科医院選びも解説

高齢者向けのインプラント治療とは

インプラント治療には、高齢者向けの「オーバーデンチャー」という治療方法があります。

オーバーデンチャーとは、残った天然歯やすでに埋め込まれているインプラントを支えに、被せて使う入れ歯のことです。オーバーデンチャーは、患者様の歯の状態に合わせて、総入れ歯や部分入れ歯などのようにかたちを変えられるという特徴をもちます。

オーバーデンチャーのメリットは、天然歯やインプラントの上に被せることで安定性が高くなり、物を噛む力が強くなることです。また、一般的な入れ歯とは違って粘膜で支えることがないため、粘膜への負担を減らせることもメリットの1つです。

一方で、天然歯やインプラントに被せる入れ歯のため、一般的なインプラントよりも噛む力が弱いことや、入れ歯を装着している違和感があることはデメリットだといえるでしょう。

オーバーデンチャーは、入れ歯に不便を感じている方や体力が低下している高齢者におすすめの治療方法です。

関連記事:インプラント治療の期間や通院回数、完了までの流れは?歯のない期間はどうする?

関連記事:インプラント治療の費用相場は?

インプラント手術を受ける際の条件

インプラントは20歳以上の方であれば、基本的に治療を受けられますが、外科手術をともなうために、高齢者の場合は治療が受けられないことがあります。

ご高齢の方の場合は、以下の条件をクリアしていなければ、インプラント治療が受けられないため注意しましょう。

条件①持病が無いこと

インプラント治療を受けられる条件として、第一に持病がないことが挙げられます。

特に、高血圧や糖尿病といった、生活習慣病と呼ばれる病気は注意しなければなりません。なぜなら、高血圧の方は、局部麻酔を行う際の薬に制限があることや、糖尿病の方は外科手術を行う際に出血しやすいことがあるためです。

また、インプラント治療を受けるうえでは、骨粗しょう症も注意したい病気の1つです。インプラントは、歯を失った部分にインプラントを埋め込んで、インプラントが骨と結合することで、通常の歯と同じように噛むことができます。しかし、骨粗しょう症の場合は、インプラントと骨が結合するまでに時間を要することや、骨とうまく結合しないことがあります。

上記のような持病をお持ちの方は、インプラント治療を受けられない可能性があるので、事前にクリニックに確認してみるとよいでしょう。

関連記事:インプラント治療後にMRI検査を受けられる・受けられないケース

条件②口内の状態がよいこと

インプラント治療を受ける前の口内の状態がよいことも、条件の1つです。

口内の状態は、インプラント治療を終えたあとも、クリニックでの定期健診を受けたり日々のメンテナンスを行ったりして、つねに清潔に保たなければなりません。 しかし、日々のメンテナンスを怠ると、健康な歯が歯周病になってしまうことや、インプラント周囲炎を引き起こすことがあります。

インプラント周囲炎は、歯周病と同じような症状ではあるものの、進行度が早いために、症状がひどくなるとインプラントが抜け落ちてしまいます。

そのため、インプラント治療を受ける前ももちろんですが、治療を受けたあとも口内はきれいな状態に保つことが大切です。

条件③服薬していないこと

持病によって、服薬している方もいらっしゃるかもしれませんが、その薬の種類によっては、インプラント治療が受けられないことがあります。

たとえば、これまでに動脈硬化や脳梗塞と診断されたことがある患者様は、血管が詰まらないように抗凝固薬を服用しているかもしれません。しかし、この抗凝固薬は、血液が固まらないようにする作用があるために、インプラント治療に必要な外科手術の際に歯茎を切ると、血が止まりづらくなってしまいます。

また、骨粗しょう症の治療のために、ビスホスホネート製剤を服用している方もいらっしゃるでしょう。ビスホスホネート製剤とは、骨を強くする作用がある薬です。このビスホスホネート製剤には、あごの骨に細菌感染が起こっていると骨が溶けてしまう副作用があるとされています。

そのため、抗凝固薬やビスホスホネート製剤といった薬を服用している方や、ほかの薬を服用している方は、治療の前に歯科医師に確認することをおすすめします。

参照元:日本口腔外科学会「ビスホスホネート製剤薬剤と顎骨壊死」
(URL:https://www.jsoms.or.jp/pdf/bone_bisphos.pdf)

条件④体力があること

高齢者は、若いころと比べると体力が落ちています。そのため、インプラント手術を受ける条件の1つに、手術に耐えられる体力があるかどうかという点も挙げられます。

なお、手術に耐えられるだけでなく、術後に定期健診に通ったり、適切な食事をとったりするためにも体力は必要です。

手術で切開した歯茎が、きれいにつながるかどうかも患者様の体力によって変わるため、体力がない場合は、インプラント治療を受けられない可能性が高いと考えておきましょう。

インプラント治療を受ける際の注意点

続いて、インプラント治療を受ける際に、押さえておきたい注意点を紹介します。

注意点①自分の受けたい治療内容に対応できるクリニックを選ぶ

高齢者でインプラント治療を受ける場合には、自分が受けたいと考えている治療が可能なクリニックを選びましょう。理由は、高齢者になるほど、インプラントを支えるために必要な、あごの骨の量や質が減ったり悪くなったりしているためです。

このように骨が不足している高齢者は、インプラント治療を行うために骨を増やす「骨造成」という手術を受けることがあります。しかし、クリニックによっては、骨造成という手術が行えない場合があるため、注意しなければなりません。

そのため、インプラント治療を受けるクリニックを探すときは、自分が受けたい治療に対応しているかどうかも確認するとよいでしょう。

注意点②通院が困難になった場合の対策を考える

高齢者の場合は、体力の低下などを理由に、インプラント治療を受けたあとの通院が困難になることが考えられます。そのため、インプラント治療を受ける前に、通院が困難になった場合の対策を考えてくれるクリニックを探しましょう。

インプラントは治療を終えたあとも、定期的にクリニックに通ってメンテナンスを受けなければなりません。なぜなら、メンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎になる可能性があるためです。症状がひどくなると、インプラントそのものが抜けたり、ぐらぐらしたりすることもあります。

もし、通院できなくなったときに、訪問診療などの柔軟な対応が可能なクリニックを探しておくことをおすすめします。

注意点③インプラントの情報を保管する

インプラント治療を受けた場合にもらえる、インプラントカードやインプラント手帳は大切に保管しましょう。インプラントカードやインプラント手帳には、どんなインプラントを埋め込んでいるか、またどんな治療を行ったのか、といった情報が記載されています。

もし、インプラントの情報を保管していなければ、担当の歯科医師が異動になってしまったり、患者様が引っ越したりした場合に、適切な治療が受けられない可能性があります。

日本口腔インプラント学会のWebサイトでは「口腔インプラントカード」のダウンロードが可能です。もし、担当の歯科医師よりインプラントの情報が得られなかった場合は、患者様ご自身で「口腔インプラントカード」を印刷して渡すと記入してもらえます。

参照元:公益財団法人「日本口腔インプラント学会」
(URL:https://shika-implant.org/osirase/2018_implantcard.html)

高齢者がインプラント治療を受ける条件は口内の状態や持病の種類などが挙げられる

いかがでしたでしょうか?

インプラント治療は20歳以上から受けられますが、高齢者の場合は身体の状態によっては治療が受けられないことがあります。

高齢者でインプラント治療を検討されている方は、「持病がない」「口内の状態がよい」「服薬していない」「体力がある」などの条件をクリアしていれば、治療を受けられます。

また、インプラント治療を受ける前に、検討している治療内容に対応できるクリニックを探すことや、インプラント治療後にもらうインプラントの情報を保管することが大切です。

秋元歯科クリニックでは、インプラント治療を行っております。高齢者で治療に不安があるという方も、お気軽にまずはご相談ください。

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