インプラントとは?術後に腫れる原因や対処法を解説
インプラント治療をすると腫れて痛そうだからやりたくないというイメージがあるかもしれません。確かにインプラント治療は手術をともなうため、ある程度の腫れから逃れることはできません。しかし歯科医師の指示を守ってきちんと薬を飲んでいれば、ひどくならない場合がほとんどです。この記事ではインプラント治療による腫れについて、腫れの期間や原因、腫れないようにする方法、腫れた場合の対処法などについて説明します。
目次
インプラントとは失った歯を補う方法
インプラントとは「植え付ける」という意味の英語です。歯科で用いられるインプラント治療とは、天然歯根の代わりにチタン製の人工歯根を顎の骨に埋め込み、それを支えにして人工歯をかぶせて失った歯を補うものです。
人工歯根に使われるチタンは人体に馴染みやすく、時間とともに骨と結合して一体化します。そのため従来の治療法だった入れ歯やブリッジなどと比べて、しっかり噛める、違和感が少ない、噛み合わせがよくなるなどさまざまなメリットがあり、広く普及しつつあります。
インプラントの治療内容
インプラント治療はどのようなものなのか説明します。まず抜かなくてはならなくなった歯を抜歯します。抜歯から1週間程度経過して傷口がふさがったらCT撮影です。インプラントで人工歯根を埋め込む場所は、神経や血管が数多く通っています。そのためCTにより、神経や血管の位置を詳細に把握しておく必要があるのです。
抜歯から2週間前後でインプラント埋入手術を行います。顎の骨に穴を開けてインプラントを埋め込むのです。手術時間は1時間程度。局所麻酔をかけるため手術中に痛みを感じることはありません。不安な方のために静脈内鎮静法と呼ばれる処置を行っている歯科医院もあります。これは点滴により不安感や恐怖感をなくした状態で手術を受けられるというものです。
手術から1か月半から3か月かけて埋入部分の傷が治るのを待ちます。インプラントが骨と無事結合していれば、型取りをしてインプラント人工歯を作ります。最後に完成した人工歯を取り付けて終了です。抜歯からインプラントで噛めるようになるまで最短で2~3か月かかります。
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インプラントは治療後に腫れるケース
インプラント治療で腫れるのはどんなときが多いのでしょうか。腫れや痛みが起きるケースはどんなときなのか、腫れる期間はどのくらいなのかについて説明します。
腫れに伴う痛み
インプラントで腫れることが多いのは手術の後です。ただし埋め込むインプラントの数が1~2本の場合は、あらかじめ痛み止めや抗生物質が処方されていることもあり、腫れや痛みが起こることは多くありません。
しかし埋め込むインプラントの本数が多い場合や、骨移植範囲や抜歯も行った場合などは、腫れや痛みを薬だけでは抑えきれず、腫れや痛みが起きることもあります。
腫れる期間は術後2〜3日ほど
腫れの期間は手術後2~3日ほどで、1週間ほどで腫れも引くことがほとんどです。ただし歯肉や骨の移植を行った場合は1週間から10日程度腫れが続く場合があります。それ以上腫れが続く場合は、何らかの異常が起きている可能性があるため、速やかに医師に相談してください。
腫れてしまう原因
インプラント治療で腫れてしまう原因にはどのようなものがあるのでしょうか。手術直後と治療完了後とでは原因は異なってきます。腫れてしまう原因についてそれぞれ説明します。
手術直後の腫れ
手術とは体を傷つける行為です。傷つけられた部位は免疫・防御機能が働きます。腫れはその1つで、血流を増やして傷ついた部位の再生に必要な養分などを集めて早く治そうとしているのです。この場合の腫れは体の正常な反応といえます。
しかし中には細菌感染による腫れもあります。細菌感染は歯科医院の衛生管理に問題があることや手術後のセルフケアが不十分であることが原因です。細菌感染の場合、処方された痛み止めや抗生物質だけでは治らず、腫れが続くことがあります。放置すると埋め込んだインプラントが脱落することもありますから、腫れが長引く場合は医師に相談してください。
治療完了後の腫れ
治療が完了した後で腫れることもあります。この場合の原因はインプラント周囲炎やパーツの緩み、周りの歯での炎症などが考えられます。いずれにしても放置で改善する可能性は低いため、速やかに医師に相談してください。
中でもインプラント周囲炎には要注意です。インプラント周囲炎はインプラント周囲の腫れや粘膜から血や膿が出るなど、天然歯の歯周病のような症状があらわれます。歯周病よりも進行が早く、最終的にはインプラントが脱落してしまうため、早めに対処しなければなりません。
インプラント周囲炎は歯垢や歯石をすみかとする歯周病菌が増殖することで起こります。また歯ぎしりなどで強い力が原因で起こることもあります。インプラントは治療後もしっかりメンテナンスすることが大切なのです。
腫れがひどくならないようにするには
免疫・防御機能としての腫れは健康な体であれば避けて通ることはできません。しかしできるだけ腫れを抑えたいのも事実。腫れがひどくならないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。腫れの予防法や腫れてしまった場合の対処法について説明します。
術後にひどく腫らさないためには薬を正しく服用する
手術後の腫れがひどくならないようにするための方法について説明します。まず手術後に処方された痛み止めや抗生物質を指示どおりに飲んでください。特に腫れがそれほど出ない場合は後半の薬を飲み忘れてしまいがちです。しかし薬を飲まないことで、それまで薬で抑えられていた腫れが急に出てくることがあります。ですから最後まできちんと飲み切ることが大切です。
血流が増えるような行動は控える
手術後は血流が増えるようなことをしばらく控えましょう。具体的にはアルコールや風呂、サウナ、運動などです。手術後2~3日はこれらを避けておとなしくしていた方が無難です。
手術部位の刺激を避ける
手術部位を刺激するようなことも控えましょう。手術部位を触ってはいけません。また手術部位で食べ物を噛まないようにしてください。手術後2~3日は刺激物や硬いものを避けて柔らかい食事を取るのがベストです。
口内環境を整えておく
口内を清潔にすることも大切です。手術部位は磨けませんが、他の部分はきちんと磨きましょう。手術部位付近はうがいで清潔にしてください。ただし手術後2~3日は強いうがいを控えましょう。強くうがいをすることでふさがりかけた傷口が開いてしまうことがあるからです。
治療完了後の腫れを抑えるためには、歯周病の予防と同じく、しっかりとした歯磨きと定期検診が大切です。インプラントは天然歯と違い、歯肉との間に歯根膜がないため細菌が侵入しやすいのです。年に数回は定期検診を受け、歯石の除去を受けるとともにインプラントに異常がないかプロの目による検査を受けましょう。
腫れてしまったら濡れタオルですぐに冷ます
手術後に腫れてしまったときはどうすればよいのでしょうか。腫れに対しては冷やすことが有効です。しかし冷やしすぎるとインプラントが骨に結合しにくくなります。氷などで冷やすのではなく、濡れタオル程度にしておきましょう。また手術後48時間後は、冷やしても効果はあまりなく、腫れがおさまるまでの期間が長引いてしまう可能性があります。
治療完了後に腫れてしまった場合は、何らかの異常が起きている可能性がありますから、速やかに医師の診断を受けてください。
強く腫れてしまった場合は直ちに歯科医院に相談
インプラント治療後に強く腫れてしまった場合、細菌感染やインプラントの結合がうまくいっていない可能性があります。直ちに歯科医師へ連絡して診断を受けてください。腫れや痛みが強すぎて我慢できない場合は、市販の痛み止めなどで診断を受けるまでの間をしのぐことも必要かもしれません。
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腫れ以外に気を付けるべきこと
インプラント治療後には腫れ以外でも気を付けるべきことがいくつかあります。
まず薬についてです。手術後に痛み止めを飲んでも効かないことがあります。また薬を飲むと下痢になったり湿疹が出たり異常が出てくる場合も。これらの場合、薬が体に合っていない可能性があります。
次に手術がうまくいっていない場合です。唇がしびれる、よだれが止まらない、鼻から血や膿が出るなどの症状がある場合や腫れや痛みが数日たってもまったく変わらない場合は、何らかの問題が起きている可能性があります。
薬や手術に問題がありそうな場合は、歯科医師に速やかに相談してください。
喫煙は歯肉の免疫力を下げるので注意
喫煙にも気を付けなくてはなりません。喫煙は歯肉の免疫力が低下するほか、血行が悪くなり栄養分が運ばれないため手術後の回復が遅くなってしまいます。そのためインプラント治療にあたっては禁煙が推奨されているのです。また治療完了後も喫煙をしているとヤニが細菌のすみかになるなどデメリットが多くあります。
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まとめ秋元歯科ではこだわりのインプラント治療を実施
秋元歯科では高い世界シェアを誇るストローマン社製Roxilid SLAインプラントを使用しています。ストローマンインプラントの10年後の生存率は98.9%、成功率97%と極めて優秀。[注1]
また費用を抑えたオステムインプラントも選択可能で、さまざまなニーズに応えられるようになっています。また最新のCTを導入しており、衛生管理も万全の体制を取っていますから、安全にインプラント治療が可能です。インプラント治療が気になる方は、ぜひ一度当院へ相談してみてください。
[注1]ストローマン社 科学的エビデンスが示す高い信頼性 https://straumannpartners.jp/medical/reason/trust/
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