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インプラントの歯磨き方法 正しいケアと注意点

インプラントは虫歯にならないからといって、歯磨きをおろそかにしてはいけません。実は天然歯以上に細菌の影響を受けやすく、適切なケアを怠ると「インプラント周囲炎」という深刻な病気を招くリスクがあります。本記事では、インプラント治療後の歯磨きの重要性や正しい磨き方、歯ブラシ・歯磨き粉の選び方、そして定期メンテナンスの必要性まで詳しく解説します。
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目次
インプラント治療後の歯磨きを丁寧に行うべき理由
インプラント治療を受けたあと、「人工歯だから虫歯にはならないのでは?」と考える方も少なくありません。しかし実際には、天然歯以上に丁寧な歯磨きが求められます。その理由のひとつが、インプラント周囲炎という病気のリスクです。
インプラント周囲炎とは
インプラント周囲炎とは、インプラントを支える歯茎や骨が細菌感染によって炎症を起こす病気です。進行すると顎の骨が溶け、せっかく埋め込んだインプラントが抜け落ちてしまうこともあります。天然歯と違って歯根膜がないため、細菌の侵入を食い止める力が弱く、リスクが高まりやすいのです。
データから見るリスクの現実
こうしたリスクは決して珍しいものではありません。日本臨床歯周病学会の調査では、治療後3年以上経過した患者の約1割がインプラント周囲疾患を発症していると報告されています。(※)つまり、「自分は大丈夫」と思っていても、多くの患者さんに起こり得る現実的な問題なのです。
参考:日本臨床歯周病学会.「歯周病について」.”インプラント周囲疾患”.
https://www.jacp.net/perio/implant/ ,(参照 2024-11-27).
毎日の歯磨きが予防のカギ
インプラント治療は、一度失敗すると再治療が難しいとされる高度な医療です。だからこそ、毎日の歯磨きで細菌の温床となる汚れをしっかり取り除き、長持ちさせることが重要になります。天然歯以上に丁寧なケアが必要だと意識しておきましょう。では、実際にどのような歯ブラシや歯磨き粉を選べば効果的なのか。次章で具体的に解説します。
インプラントを長持ちさせるための歯ブラシと歯磨き粉選び
インプラントを長く健康に保つためには、正しい道具選びが欠かせません。歯ブラシや歯磨き粉は毎日のケアで必ず使うものだからこそ、「どれを選ぶか」がインプラントの寿命に直結します。ここでは歯ブラシと歯磨き粉の選び方を具体的に解説します。

歯ブラシ選びのポイント
- 毛先が細いブラシを選ぶ
インプラントは歯と歯茎の境目に汚れが溜まりやすいため、毛先が細いブラシでないと細部まで清掃できません。硬い毛先は歯茎を傷つける可能性があるため、柔らかめで細い毛の歯ブラシがおすすめです。 - タフトブラシを併用する
タフトブラシとは毛束が小さくまとまった補助ブラシで、通常の歯ブラシでは届きにくい隙間や奥歯の裏を磨くのに適しています。特にインプラント周囲は汚れが残りやすいため、タフトブラシを使うと清掃効果が高まります。 - 電動ブラシや音波ブラシも有効
電動歯ブラシや音波歯ブラシは短時間で効率的にプラークを除去できるため、手磨きが苦手な方や時間がない方に向いています。ただし、使い方を誤ると歯肉やインプラント周囲を傷つけるリスクがあるため、使用前に歯科医師や歯科衛生士から正しい方法を習うことが望ましいです。
歯磨き粉選びのポイント
- フッ素配合の歯磨き粉を選ぶ
フッ素は虫歯予防に有効で、インプラントの隣にある天然歯を守る役割を果たします。「フッ素がインプラントに悪影響を与えるのでは?」という誤解も一時期ありましたが、日本口腔衛生学会は「市販の歯磨き粉に含まれるフッ素濃度(1,500ppm以下)は安全」と明言しています(※)。安心して使用して問題ありません。 - 研磨剤入りは避ける
研磨剤が多く含まれる歯磨き粉は、歯の表面を削って汚れを落とすため、インプラント周囲の歯茎や上部構造を傷つける可能性があります。特にインプラント体と歯茎の境目はデリケートなため、低研磨または研磨剤無配合タイプの歯磨き粉を選びましょう。
※参考:厚生労働省.「e-ヘルスネット」.“フッ素物配合歯磨剤”.
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-02-007 ,(参照 2024-11-27).
【関連記事】インプラントにはどんな歯ブラシが良いの? 選び方や磨き方を徹底解説
インプラント治療後の歯磨きの仕方
インプラントを守るためには、正しい道具を選んだうえで、日々の歯磨きを適切に行うことが欠かせません。ここでは、これまでに紹介した歯ブラシや歯磨き粉を使い、どのように磨けば効果的なのかを具体的に解説します。

基本のブラッシング方法
インプラント周囲の清掃には、バス法と呼ばれる磨き方が有効です。歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、小刻みに動かして汚れをかき出します。ゴシゴシと力を入れるのではなく、鉛筆を持つように軽く握り、手首を動かすイメージで磨くのがポイントです。強すぎる力は歯茎を傷つけ、弱すぎると汚れが残ってしまうため「優しく細かく」を意識しましょう。
磨き残しを防ぐ工夫
磨き残しをなくすには、順序を決めて磨くことが大切です。たとえば「右上奥→左上奥→左下奥→右下奥」と一方向に進む、あるいは「表面→裏面」と分けて磨く方法も効果的です。順序を固定することで「気になるところだけ磨いて終わる」という失敗を防げます。
補助用具の活用
歯ブラシだけでは落としきれない汚れもあるため、デンタルフロスや歯間ブラシを併用しましょう。特にインプラント周囲は隙間に汚れがたまりやすく、放置すると炎症の原因になります。使うタイミングは歯磨きの前がおすすめで、先に隙間の汚れを取ることで、その後のブラッシング効果が高まります。
【関連記事】インプラントの術後、抜糸までの期間や注意するべきポイントは?
インプラント治療後の歯磨きでやってはいけないこと
正しい歯磨き方法を実践することが大切ですが、一方で「やってはいけない磨き方」を知っておくことも重要です。ここでは、治療後に避けたい代表的な行動と、その理由を解説します。

手術当日のブラッシングやうがいは避ける
手術直後のインプラント部位は、最もデリケートな状態です。たとえば当日に歯磨きや強いうがいをしてしまうと、出血や感染、治癒の遅れにつながる恐れがあります。手術部位以外の天然歯は磨いても問題ありませんが、インプラント部分は必ず医師の指示に従いましょう。
強すぎるブラッシングは逆効果
「汚れをしっかり落としたい」と力任せに磨くのは、むしろ逆効果です。過度なブラッシングは歯茎を傷つけ、インプラント周囲に炎症を引き起こす原因となります。鉛筆を持つように歯ブラシを軽く握り、優しく小刻みに動かすことを意識しましょう。
歯磨きを怠ると大きなリスクに
反対に、歯磨きをおろそかにすることも大きな問題です。汚れを放置すると、インプラント周囲に細菌が繁殖し、インプラント周囲炎のリスクが高まります。進行すれば膿が出たり、最悪の場合はインプラントが脱落してしまうこともあります。毎日のケアは「強すぎない・怠らない」のバランスが重要です。
インプラントを長く使うためには定期的なメンテナンスが欠かせない
どれだけ丁寧に歯磨きをしても、自宅ケアだけではインプラントを十分に守りきれない場合があります。長期的に使うためには、歯科医院での定期的なメンテナンスが強く推奨されます。
自宅ケアだけでは不十分な理由
インプラントは天然歯よりも細菌に弱く、歯磨きでは取り切れない歯石やプラークがたまることがあります。こうした汚れは放置すると炎症やトラブルの原因になるため、専門家によるチェックを受けることが望ましいです。
定期メンテナンスの内容
歯科医院でのメンテナンスでは、インプラントのかみ合わせ、歯茎の状態、顎の骨の安定性などを確認します。さらに、専用の器具を用いたクリーニングで、歯ブラシでは落としきれない歯石や汚れを除去してもらえます。
推奨される頻度
メンテナンスの頻度は患者さんの状態によって異なりますが、一般的には3〜6か月に一度が目安です。定期的に受けることで、インプラント周囲炎の予防や早期発見につながり、結果として寿命を延ばせる可能性があります。
関連記事:インプラントのメンテナンスが必要な理由は?費用の目安や寿命を伸ばすために心がけたいこと
まとめ
インプラントは人工歯でも、丁寧な歯磨きと定期的なメンテナンスが欠かせません。正しいケアを続けることで、インプラント周囲炎を防ぎ、長く使い続けられます。
横浜市のあきもと歯科では、カウンセリングと埋入後5年間の保証制度で安心をサポートしています。治療や術後ケアに不安がある方は、ぜひ当院の無料カウンセリングにご相談ください。
よくある質問
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Qインプラント治療後はどのように歯を磨けばよいですか?
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Qインプラントに適した歯ブラシや歯磨き粉はありますか?
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Q手術直後から歯磨きしても大丈夫ですか?
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Q歯磨きだけでインプラントを守れますか?
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