インプラント治療は痛い?痛みが起こる原因や緩和方法を紹介
インプラント治療を受けたいものの、治療中の痛みを心配なさっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。インプラント治療には外科手術も含まれるため、どの程度の痛みが起こるのかをあらかじめ知っておきたいですよね。
そこで本記事では、インプラント治療において痛みが起こる場合のタイミングや、痛みを緩和する方法などを紹介します。インプラント治療が痛いのかどうかを知りたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
インプラント治療で痛みが起こるタイミング
インプラント治療中に痛みが起こるとしたら、どのようなタイミングなのでしょうか?
下記にて痛みが起こるタイミングを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
タイミング①インプラント手術中
インプラント手術中は、ほとんど痛みを感じません。なぜなら、必ず麻酔薬を投与して痛みを感じない状態にしてから行うためです。手術中に麻酔が切れるといったこともほとんどないため、過度に心配する必要はないでしょう。
ただし、局所麻酔の注射をする際にチクッとした痛みを感じることもありますが、痛みはすぐに治まります。
どうしても手術が苦手だと感じている方も、神経をリラックスさせる鎮静法とよばれる麻酔法を組み合わせることにより、安心して手術を受けることができます。そのため、インプラント手術中の痛みを心配する必要はないといえるでしょう。
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タイミング②インプラント手術の直後
インプラント手術後に麻酔が切れたタイミングで、患部に痛みが発生する場合があります。なぜなら、インプラント手術は、歯ぐきを切開して骨に穴を開けるという工程が含まれる外科手術であることから、麻酔が切れるとどうしても痛みをともなうためです。しかし、手術後に処方される鎮痛薬を服用すれば痛みを抑えられることがほとんどであるため、そこまで心配する必要はありません。
したがって、インプラント手術後に痛みが発生することはありますが、2~3日から遅くても1週間で痛みは治まるでしょう。もし痛みが治まらない場合は、歯ぐきが炎症を起こしているか、インプラントに不具合が起こっている可能性があるため、すぐに医師に相談してください。
タイミング③抜糸中
インプラント手術から7~10日ほど経過したら再度クリニックを訪れ、抜糸する必要があります。その際に、わずかな痛みが生じる場合があるでしょう。痛みの感じ方には個人差があるため「違和感がある程度にしか感じない」という方もいらっしゃれば「チクチクとした痛みを感じてつらい」という方もいらっしゃいます。
どうしても痛みに耐えられそうにないという場合は、患部にあらかじめ麻酔を投与することも可能であるため、医師に相談してみましょう。
タイミング④抜糸後
抜糸後に痛みが出ることはほとんどありませんが、患部に強い刺激や衝撃が加わると、痛みが発生する場合があります。たとえば、治療をしたほうの歯で固いものを噛んだときや、歯ブラシが当たったときなどです。
術後すぐに患部に強い刺激が加えられると、縫合した箇所が裂けるといったトラブルが起こる可能性もあるため、4週間ほどはなるべく患部を触らないことをおすすめします。
タイミング⑤手術完了から一定期間経過後
手術から一定期間が経過した後も、インプラント周囲炎とよばれる症状が出た場合は、痛みが発生してしまうでしょう。
インプラント周囲炎とは、インプラントの周りの歯ぐきが炎症を起こした状態のことです。原因は歯周病菌によるもので、歯磨きの際に磨き残しがあると、インプラントと歯ぐきのあいだに歯垢が溜まり、そこで細菌が増殖して炎症が起こるという仕組みです。
インプラントは天然の歯と比べると、歯ぐきの粘膜との接着性が弱いという特性があり、特に歯周病菌に気をつけなければなりません。なぜなら、接着性が弱いということは、インプラントと歯ぐきの間に隙間が広がりやすいということであり、天然の歯の周りの歯ぐきよりも細菌が侵入しやすい状態であるためです。
インプラント周囲炎が進行すると、歯ぐきの腫れや出血だけではなく、インプラントを支える骨が溶け、インプラントが脱落するという事態に発展する場合もあります。
以上のことから、インプラント手術から一定期間が経過しても、インプラント周囲炎による痛みが発生する可能性は十分にあるといえるでしょう。
ただ、インプラント周囲炎は日ごろから口内を清潔に保ち、定期的にクリニックでクリーニングを受けていれば防ぐことが可能です。
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インプラント治療の痛みを抑える麻酔法の種類
インプラント治療には必ず麻酔を用いるため、治療中に痛みを感じることはほとんどありません。なお、現在では、患者様の健康状態に合わせたさまざまな麻酔法があるため、自分に合った方法を選ぶことが可能です。下記にて、どのような種類の麻酔法があるのかを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
種類①局所麻酔法
インプラント治療において一般的に用いられる麻酔法は「局所麻酔法」です。局所麻酔法とは、手術する患部へ麻酔薬を投与することにより、そこだけ痛みを感じない状態にできる麻酔法のことです。全身麻酔に比べて麻酔時間も短く済み、心臓や肺への負担も少なく、手術後はすぐに帰宅することができます。
局所麻酔法には、注射器を使って麻酔薬を投与する「浸潤麻酔法」や「伝達麻酔法」などさまざまな種類があります。効果の持続時間は、浸潤麻酔法で2~3時間ほど、伝達麻酔法で6~8時間ほどです。
この局所麻酔を行う際に感じる、注射の痛みが苦手だという方もいらっしゃるでしょう。そのような場合は、麻酔薬を歯ぐきに直接塗布する「表面麻酔法」という方法を用いて、注射の傷みを感じない状態にしてから注射を行うことも可能です。
いずれの局所麻酔法も体への負担を最小限に抑えることができるという理由から、インプラント治療において一般的に用いられている麻酔法であるといえます。
種類②鎮静法
インプラント治療の際に、局所麻酔とあわせて「鎮静法」という麻酔法も同時に用いるケースがあります。鎮静法は、麻酔薬や精神安定剤を使って全身をリラックスさせ、不安を和らげた状態で手術を受けられる方法です。なぜこのような方法が用いられるのかというと、不安や緊張の強い方が安心して手術を受けられる状態にするためです。
不安の強い方は、意識がある状態で手術を受けると、たとえ患部に痛みを感じないとしても、パニックを起こしたり、具合が悪くなったりする場合があります。そのような方でも鎮静法を用いれば、不安が和らぎ、落ち着いて手術を受けることができるというわけです。
この鎮静法にも種類があり、麻酔薬をガスで吸い込む「吸入鎮静法」や、腕から点滴で注入する「静脈内鎮静法」があります。どちらも完全に意識を失わない程度に麻酔をかけて、半分眠っているようなリラックスした状態になることが可能です。
このようにさまざまな麻酔法が用意されているため、インプラント治療中の麻酔について過度な不安を抱く必要はありません。
インプラント治療後の痛みを緩和する応急処置の方法
インプラント治療から2~3日は、患部が炎症を起こしやすい状態になっているため、鎮痛薬を飲んでも痛みを感じる場合があります。そのようなときは、応急処置として痛む側の頬を冷やすことをおすすめします。
ただし、冷やしすぎると血流が滞り、かえって炎症を悪化させるおそれもあるため、水で濡らしたタオルを優しく頬に押し当てるか、解熱シートを貼る程度にしましょう。
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インプラント治療完了後に痛みを予防するために押さえておきたいポイント
インプラント治療を終えたあとも、痛みはなるべく感じたくないですよね。日常生活のなかで痛みを予防するための6つのポイントを下記にて紹介するので、参考にしてみてください。
ポイント①喫煙を控える
喫煙者は、非喫煙者に比べて歯周病やインプラント周囲炎にかかるリスクが高く、それにともない痛みを感じる可能性も高まるため、喫煙は控えたほうがよいでしょう。これらのリスクが高まる原因は、タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素によるものです。
たとえば、ニコチンは、白血球が持つ体内防衛の機能を低下させる働きがあるため、結果として細菌に感染しやすい状態を作ってしまうことにつながります。
また、タバコを吸うことによって発生する一酸化炭素は、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンと結びつき、酸素の運搬機能を低下させてしまいます。すると、骨や歯に十分な酸素と栄養が行き届かず、インプラントを支える骨が弱くなり、インプラントが外れるケースもあるので注意が必要です。
感染症を引き起こすことによる痛みや、インプラントが外れるといったトラブルを避けるためにも、喫煙は控えたほうがよいでしょう。
ポイント②飲酒を控える
インプラント治療後にお酒を飲むと、傷口が治るスピードが遅くなる場合があるため、できるだけ控えましょう。なぜなら、アルコールは血流を促進する働きを持つためです。
通常、傷口は周辺の血液が固まることにより止血し、徐々に回復しますが、アルコールを摂取すると血流が促進され、血が固まることが阻害されてしまいます。これにより、手術によってできた傷の治りが遅くなってしまう可能性があるのです。
また、飲酒によってインプラント周囲炎をはじめとする感染症を発症するリスクが高まるという点にも注意が必要です。アルコールを摂取すると脱水症状が起こりやすくなるため、唾液の分泌量が少なくなります。唾液には自浄作用や抗菌作用があるため、唾液が少ないと歯周病やインプラント周囲炎にかかりやすくなるのです。
アルコールには、傷口の治りを遅くし、インプラント周囲炎に感染するリスクを高める作用があるため、インプラント治療後はなるべく飲酒を控えることをおすすめします。
ポイント③なるべく柔らかいものを食べる
インプラント治療後の数日間は、おかゆや豆腐、ヨーグルトなどの柔らかいものを食べ、固いものは控えましょう。なぜなら、傷口がまだ治りきっていない状態で固いものを食べると、傷口から出血したり、縫合したところが裂けたりする場合があるためです。また、刺激物やお餅、ガムなども、傷口の痛みや出血の原因となるため、避けましょう。
食事する際も、手術をしたほうとは反対の歯で噛むようにして、なるべく傷口に当たらないように気をつけてください。
なお、インプラント治療後2~3時間は麻酔が効いている状態であるため、食事をすると誤って唇や口内を噛んでしまうことや、熱いものを食べると火傷することがあります。そのため、麻酔が効いているあいだは食事を控えましょう。
ポイント④患部に歯ブラシを当てないように気をつける
インプラント治療を受けてから抜糸するまでのあいだは、手術をした部分に歯ブラシが当たらないように気をつけましょう。なぜなら、歯ブラシが当たってしまうとインプラント治療を終えたばかりの患部を傷つけるおそれがあり、そうなると傷の治りも遅くなるためです。
歯磨き粉や洗口液なども傷口への刺激となる場合があるので、抜糸するまではなるべく何もつけない状態で歯磨きすることをおすすめします。
また、強くうがいすると傷口を刺激してしまい、出血する可能性があるため、うがいは軽く口をゆすぐ程度にとどめましょう。
ポイント⑤お風呂を控える
インプラント治療後は、お風呂に入ることや、熱いシャワーを浴びることは控えてください。もちろん適温のシャワーを浴びる程度であれば問題ありません。熱いお湯が問題である理由は、体が温まると血流が促進されてしまい、傷口が出血しやすくなったり、痛みを感じたりする可能性が高まるためです。
手術から2~3日経過すればお湯に浸かることも可能ですが、もし患部の痛みや腫れが続く場合は、もう少し様子をみてからにしましょう。たとえ軽いウォーキングであっても血行がよくなるため、2~3日は控えたほうが安心です。
また、体が疲労すると抵抗力も落ちるため、傷の治りが遅くなる場合や、炎症を起こす場合があります。
もしお仕事でどうしても体を動かさなければならない場合は、連休前に手術を受けて、術後数日間は安静に過ごせる状態にしておくなど、工夫しましょう。
インプラント治療後の痛みはさまざまな工夫で抑えることができる
いかがでしたでしょうか。
インプラント治療による痛みが起こるタイミングはさまざまですが、手術中は局所麻酔を使うため、痛みはほとんどありません。麻酔の注射が苦手という方や、不安・緊張が強い方は、表面麻酔法や鎮静法といった方法もあります。
また、インプラント治療後の痛みは、痛み止めを服用すれば抑えられるため、過度に心配する必要はありません。手術後の経過をよくするためにも、喫煙や飲酒、熱いお風呂、運動などは控え、安静に過ごしましょう。
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