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親知らずがインプラントの代わりになる? 歯の移植について分かりやすく解説
歯を失ったときの治療法の一つに「歯牙移植」があるのをご存知ですか。これは欠損部分にご自分の親知らずや埋伏歯などを移植する方法です。天然の歯を使って治療する歯牙移植には、人工の歯を埋め込むインプラントとは違った特徴があります。
本記事では歯牙移植とインプラントの比較や、歯牙移植を受けられる人の条件、メリットとデメリットなどを解説します。失った歯の治療法にお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
親知らずなどをインプラントの代わりにする「歯牙移植」 とは
インプラントとは、歯が欠損したとき、人工の歯で補う治療法です。一方、親知らずや埋伏歯などの、嚙み合わせに関係のない、自分自身の歯を欠損部分に移植する治療法のことを「歯牙移植」といいます。特に親知らずは、多くの場合で抜歯の対象となりますが、歯牙移植をすることで抜いた親知らずの有効活用が可能です。
歯牙移植の施術過程は、複数のステップから成り立っています。まず、親知らずなどの移植する歯の抜歯が行われ、続いて移植先の準備と実際の移植手術。その後、移植された歯の安定を図るため、移植先の歯根の治療や必要に応じて詰め物などが行われます。
これらの一連の治療が完了し、移植した歯が完全に定着するまでには、およそ3~6カ月程度の期間が必要とされます。しかし、患者さんの口腔内の状態によっては、より慎重な対応が求められることもあるでしょう。例えば細菌感染が見られる場合には、感染のリスクを軽減するため、移植を実施するまでに長くて数週間程度の期間を置くこともあります。
このように、歯牙移植は親知らずなどの自身の歯を活用する治療法であり、インプラントとは異なるアプローチで欠損部分の問題に対処します。
歯牙移植とインプラントの比較
歯牙移植とインプラントは、どちらも失った歯を補う治療ですが、使用する歯をはじめ、噛み心地や歯への負担などいくつかのポイントで異なる特徴があります。本項では、両者にどのような違いがあるのかを解説します。
歯牙移植とインプラントの比較一覧
歯牙移植 | インプラント | |
使用する歯 | かみ合わせに影響がない自分の歯(親知らずを移植することが多い) | セラミックなどでできた人工の歯 |
噛み心地 | 歯根膜があるため自然な噛み心地 | 歯根膜がないため劣る |
歯への負担 | 歯根膜がクッションになり、歯に過剰な力がかからない | 強く噛み過ぎることがある |
金属アレルギー | 起こらない | まれに起こることがある |
治療を受けられる人 | いろいろな条件に当てはまる人しか治療できない | 多くの人が治療できる |
治療可能な歯科医院 | 限られた歯科医院しか治療できない | 多くの歯科医院で治療可能 |
治療に向かない年代 | 年齢が高くなると成功率が下がる |
|
5年後の残存率 | 約90% | 約95% |
保険診療 | 条件により対象 | 保険診療対象外 |
親知らずなどをインプラント代わりにできる人の条件
自分自身の親知らずなどを使用する歯牙移植は、誰でも受けられる治療ではありません。歯牙移植が可能なのは、主に次の項目をクリアしている場合です。
- 移植可能な歯がある
- あごの骨量に問題がない
- 年齢が若い
なお、歯牙移植が可能かどうかはケースバイケースのため、上記の項目を満たしている場合でも、必ず治療を受けられるとは限りません。最終的な可否は歯科医師の判断で決まります。
移植可能な歯がある
歯牙移植に使う歯は、どのような状態でも良いわけではありません。欠損した歯とサイズが大きく異なる場合、移植に使えない可能性が高いです。例えば、親知らずの移植を希望しても、欠損部分が前歯であれば治療は難しいでしょう。
また、移植する歯に問題がないことも条件の一つです。重症の虫歯や歯周病がある、歯根(歯茎の中に入っている部分)の形が複雑など、状態によっては移植に使えないかもしれません。
あごの骨量に問題がない
歯牙移植には、移植部分周囲の骨量も大切です。骨が少ないと、移植した歯が不安定になり、定着できない可能性があります。
ただし骨移植で骨の量を増やす方法もあり、一概に不可能とはいい切れません。まずは歯科医師にご相談ください。
年齢が若い
歯牙移植の成功のカギは、移植した親知らずなどが欠損部分に根付くかどうかです。そして若い方が定着率が高く、成功しやすい傾向にあります。
一般的には40代を過ぎると、次のような要因のため成功率が下がるといわれています。
- 移植後の傷が治りにくくなる
- 歯周病のリスクが高くなる
- その他の加齢による要因
しかし、歯や口内の状態は人により異なるため、年齢だけで一括りにはできません。ご自分でできないと判断せず、まずは歯科医師に相談してみましょう。
親知らずなどをインプラント代わりに移植するメリット
嚙み合わせに影響しないご自分の親知らずなどを使う歯牙移植には、インプラントとは異なるさまざまなメリットがあります。本項では主な4つのメリットについて解説します。
- 歯の感覚が残る
- 親知らずを活用すると同時にトラブルを防ぐ
- インプラント治療を先に延ばせる
- 健康保険適用になる場合がある
歯の感覚が残る
歯牙移植では、歯根膜が親知らずと移植部分の骨をつなぐため、天然の歯が持つ感覚そのままに噛むことが可能です。
また人間の歯は時間がたつにつれて、少しずつ前方へ動いていきます。歯牙移植した親知らずは歯根膜があるため、他の歯と一緒に違和感なく動きますが、固定されたインプラントは移動しません。そのため場合によっては、数年後にインプラントを設置し直す必要が生じます。
親知らずを活用すると同時にトラブルを防ぐ
歯牙移植で利用するケースの多い親知らずは、まっすぐに生えない、歯ブラシが届きにくいなどの問題が起こりがちです。その結果、次のようなトラブルを招く恐れがあります。
- 虫歯や歯周病になりやすい
- 親知らずが隣の歯を圧迫する(歯並びが悪くなる)
- 上下どちらかだけ生えていると噛みにくい
しかし、歯牙移植を行うことで、これらの問題を回避しつつ親知らずを有効活用できます。つまり、歯牙移植は親知らずに関する問題を解決し、同時に欠損部分を補える、まさに一石二鳥の治療法だといえるでしょう。
インプラント治療を先に延ばせる
歯牙移植では、5年後の残存率は90%といわれています。インプラントの5年後の残存率は95%といわれており、大きな違いはありませんが、10年以上の長期間で考えると、歯牙移植はインプラントより寿命が短いといわれています。
しかし、いずれ移植した親知らずなどが抜けるとしても、歯牙移植には一考の価値があります。まずは歯牙移植をしておいて、数年後に移植した歯が抜けてしまったら、そのときに改めてインプラントをできるからです。まずは歯牙移植をすることで、ご自分の歯で噛める時間を延長できます。
歯牙移植の「自然な歯の感覚を残したまま欠損を補える」という点は、インプラントにはない大きなメリットです。
健康保険適用になる場合がある
インプラントは健康保険適用外の治療なので、費用は全額自己負担です。一方で歯牙移植は、下記の条件を全て満たす場合に限り、健康保険が適用されます。
- ご自分の歯を使う
- 治療を始める時点で、治療対象の歯と、治療に使う予定の歯の両方が口の中に残っていること移植する歯と欠損箇所のサイズが合っている
つまり「虫歯など何らかの理由によって歯を抜歯し、その後に親知らずなどを移植する」治療のみ健康保険適用です。すでに欠損している箇所への移植や、事前にあごの骨を整える必要がある場合などは適用外なのでご注意ください。
親知らずなどをインプラント代わりに移植するデメリット
歯牙移植には大きなメリットがある一方で、条件やリスクなどのデメリットも存在します。
- 条件に合う人しか治療を受けられない
- インプラントより成功率が低い
- 虫歯や失敗のリスクがある
条件に合う人しか治療を受けられない
前述した通り、歯牙移植を受けるには「噛み合わせに影響しない、移植可能な歯(親知らずなど)があり、あごの骨に問題がない」などの条件があります。また年齢が高くなるほど定着率は低くなります。
一方、インプラントは上記ほど厳しい条件がなく、多くの人が受けられる治療方法です。治療可能な年齢の幅が広いのも、インプラントが選ばれやすい理由の一つでしょう。
インプラントより成功率が低い
歯牙移植の成功率は一般的に90%前後とされており、インプラントよりも低いのが現状です。90%以上の確率で10年後も使い続けられる可能性があるインプラントに比べると、移植した歯が定着せずに抜け落ちてしまうリスクが高いことには留意が必要です。
失敗や虫歯のリスクがある
残念ながら、歯牙移植は必ず成功するとは限りません。移植した親知らずなどが定着せず、抜け落ちて失敗する可能性もあります。
また歯牙移植に使用するのは天然の歯であるため、場合によっては虫歯や細菌感染を起こします。
インプラントを選択する場合は信頼できる歯科医院で
歯牙移植はご自分の歯を使う画期的な治療法であり、メリットも多いですが、対応している歯科医院はまだ少数です。治療を受けられる人も限られるため、現実的にはインプラントなど、歯牙移植以外の方法が一般的でしょう。
インプラントは信頼できる歯科医院選びが治療の第一歩です。また健康保険適用外のため、明瞭な料金体系もポイントになります。
秋元歯科クリニックでは、歯科医師が大学病院で培った経験を生かし、インプラント治療を行っています。料金体制も明瞭で、インプラントのプランは4種類から選択可能です。
インプラント治療をご検討の際は、ぜひ秋元歯科クリニックへご相談ください。
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