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虫歯を抜歯するのはどのような状態?注意点と治療方針を解説

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虫歯を抜歯するのはどのような状態?注意点と治療方針を解説

どなたにとっても、歯の健康は生活の質に直結する問題です。しかし、虫歯が進行してしまうと、最終的に歯を抜かなければならないことがあります。

この記事では、どのような状態で虫歯を抜歯するのか、リスクや注意点、抜歯後の治療方針を分かりやすく解説します。

現在、虫歯があり抜歯を検討している方や、今後の治療方針を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

虫歯を抜歯する4つの状態

虫歯になったからといって、必ずしも抜歯が必要なわけではありません。ここでは、抜歯すべき4つの状態を紹介します。

  • 歯の大部分が失われている
  • 歯根まで虫歯が到達している
  • 歯茎や骨まで炎症し痛みが強い
  • 歯根が割れている

ぜひ、自分の虫歯の状態と照らし合わせてください。

歯の大部分が失われている

虫歯が進行して歯の大部分が破壊されると、見た目でも分かるほどに崩れてしまいます。歯の原形がない状態では、冷たいものや熱いものを口に含んだときに強い痛みを感じるでしょう。

また、食事の際も歯がぐらつく感覚があり、食べ物を噛むのが難しくなります。詰め物や被せ物では痛みを緩和できないため、多くの場合、抜歯をすすめられます。

放置すると感染が広がり、周囲の歯や歯茎にも悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

歯根まで虫歯が到達している

虫歯が進行し、歯根にまで達すると、根管治療でも改善が難しくなる傾向があります。歯の内部に膿が溜まり、歯茎に腫れが生じるため、何もしていなくても痛みを感じることが少なくありません。

また、歯茎が赤く腫れて熱を持っていたら要注意です。この場合、歯茎を押すと膿が出てくることもあり、口臭が強くなる原因となります。

放置すると、感染が顎の骨や周囲の組織に広がる危険性もあります。最悪の場合、全身の健康に悪影響を及ぼすため、早めに対処しましょう。

歯茎や骨まで炎症し痛みが強い

虫歯が進行して歯茎や顎の骨にまで炎症が広がると、強い痛みを伴うことがあります。この状態では、目視できるほど歯茎が腫れて赤くなり、触れるだけでも痛みを感じるでしょう。

さらに進行すると顔の一部が腫れ、痛みが顎や耳のあたりにまで広がるため、日常生活が辛くなります。炎症が慢性化すると、細菌が血流に乗って全身に広がり、心臓や腎臓などの臓器に悪影響を及ぼすことがあります。

とくに高齢者では全身の免疫力が低下しているため、感染症のリスクも高まりやすく、注意が必要です。

歯根が割れている

歯根が割れてしまうと、通常の治療では保存が難しくなります。割れた歯根は細菌が入り込みやすい隙間ができるため、感染のリスクが高く、食事中に噛むたびに痛みを感じます。これにより、炎症や腫れを引き起こすため軽視できません。

また、歯の一部がぐらついたり、割れた部分が周辺の歯茎を傷つけたりすることもあるため、口腔内全体も悪化します。

歯根の割れは自己判断が難しいため、痛みや違和感を持ったら早めに歯科医に相談することが重要です。レントゲン撮影などの専門的な検査で正確な診断を受けられます。

虫歯を抜歯する3つのリスク

歯を失うと、見た目や健康に大きな影響を及ぼすため、慎重な判断が必要です。ここでは、抜歯の3つのリスクを紹介します。

  • 噛み合わせが悪く、咀嚼力が落ちる
  • 顎の骨が痩せ、見た目に影響する
  • 健康な歯への負担がかかる

それぞれ見ていきましょう。

噛み合わせが悪く、咀嚼力が落ちる

抜歯後に放置するとスペースができてしまい、周囲の歯が移動しやすく噛み合わせが悪くなることがあります。噛み合わせが悪くなると、食べ物を十分に噛めず、咀嚼力が低下します。

また、咀嚼力が落ちると食事を楽しむのが難しくなるだけでなく、消化不良や栄養バランスの乱れを引き起こす可能性も。噛めないことで食べ物が大きなまま飲み込まれ、消化器官に負担をかけることになるからです。

消化不良が続くと必要な栄養素を吸収できず、歯以外の健康にも悪いため、注意しましょう。

顎の骨が痩せ、見た目に影響する

抜歯すると、歯を失った部分に刺激が加わらなくなるため、顎の骨が痩せてしまいます。 顎の骨が痩せると顔の輪郭が変わり、見た目に影響を与えることがあります。 たとえば、頬がこけて見えたり、口元が凹んだりして老けた印象になるでしょう。 とくに前歯を失った場合、顔全体の印象が変わってしまうため注意が必要です。

また、顎の骨が痩せると入れ歯が安定しにくくなり、インプラント治療を受ける際に骨を増やす手術が必要になることがあります。

健康な歯への負担がかかる

歯を失ったまま放置すると、隣の歯が空いたスペースに傾いてくることがあります。 これにより噛み合わせが乱れ、健康な歯に余計な負担がかかることも。 たとえば、隣接する歯に過度な力が加わることで早く摩耗したり、虫歯や歯周病のリスクが高まったりします。

また、歯並びが悪くなると歯間に食べ物が詰まりやすくなり、口腔衛生を保つことが難しくなります。 新たな虫歯を作り出すことにつながりかねないため、抜歯後のスペースを放置するのは危険です。

虫歯を抜歯したあとの注意点

虫歯を抜歯したあとは、適切なケアが必要です。

以下の5つの注意点を守り、トラブルのない回復に努めましょう。

  • 強いうがいや、ストローの利用は控える
  • 患部に歯ブラシが当たらないよう気を付ける
  • 抜歯当日は入浴を控える
  • 麻酔が切れるまで食事は控える
  • 飲酒と喫煙をしない

それぞれ見ていきましょう。

強いうがいや、ストローの利用は控える

抜歯後は傷口を保護するため、強いうがいやストローの使用を避けましょう。強くうがいをしたり、ストローで吸ったりすると、傷口を覆う血餅(血の塊)がはがれやすくなるからです。血餅が取れてしまうと強い痛みを伴い、感染のリスクも高まり完治に時間を要するため、再来院が必要です。

たとえば、うがいをする場合は、優しく行うことを心がけてください。ストローを使うと吸引力で血餅が取れてしまうため、血餅が安定するまでは使用を控えましょう。

患部に歯ブラシが当たらないよう気を付ける

抜歯した当日は無理に歯磨きをする必要はありません。傷口が開いて出血しやすく、細菌感染のリスクがあるため、2~3日は患部に歯ブラシが当たらないよう注意しましょう。患部以外の歯は普段どおりに磨き、口腔内を清潔に保つことが重要です。

また、歯ブラシが患部に触れると、治癒を妨げるだけでなく、痛みが生じることもあります。せっかくできた血餅を剥がしてしまうことになりかねません。とくに、直後はデリケートな状態なので、抜歯した付近の歯を磨く際は慎重にしてください。

抜歯当日は入浴を控える

抜歯当日は入浴を控え、シャワーで軽く済ませることをおすすめします。長時間の入浴や熱いお風呂は血行をよくしすぎるため、出血が続くおそれがあります。

また、血行がよくなると、痛みが増すこともあるため、安静に過ごすことが大切です。たとえば、湯船に浸かると血圧が上がり、せっかく止血できていた患部の出血の再発を高めてしまいます。抜歯当日は体を冷やさないようにしつつ、リラックスして過ごしましょう。

麻酔が切れるまで食事は控える

麻酔が効いている間に食事をすると、口の感覚が鈍っているため、誤って頬や舌を噛み、思わぬ怪我をするおそれがあります。また、火傷をしたり、傷口に食べ物が詰まったりすることがあります。

麻酔が切れるまで食事は控え、おかゆやゼリーなどの軟らかい食べ物を摂りましょう。可能な限り、抜歯前に軽い食事を済ませておくことをおすすめします。

飲酒と喫煙をしない

喫煙は血液中の酸素供給を低下させ、傷口の治癒を遅らせるだけでなく、感染リスクを高めるため抜歯後数日は避けてください。ニコチンは血管を収縮させ、血流を悪化させる効果があるためです。

一方、アルコールは血行を促進し、患部が腫れたり出血が止まりにくくなったりします。アルコールによる血管拡張作用は、血餅がはがれてドライソケットを引き起こすリスクも高めます。ドライソケットとは、抜歯後の傷口に血餅が形成されず、骨が露出して強い痛みを伴う状態です。

この状態になると治癒が大幅に遅れ、激しい痛みが長引きます。

虫歯を抜歯したあとの治療方針

虫歯を抜歯したあとは、失った歯を補う治療が必要です。代表的な治療法に、以下の3つがあげられます。

  • 入れ歯
  • ブリッジ
  • インプラント

それぞれの特徴を理解して、最適な治療法を選びましょう。

入れ歯

入れ歯は取り外し可能な人工歯で、部分入れ歯と総入れ歯の2種類あります。

部分入れ歯は失った一部分の歯を補い、総入れ歯はすべての歯を補うものです。

以下にメリットとデメリットをまとめました。

メリット デメリット
費用が安く、保険適用が可能
治療期間が短い
取り外して自分で洗える
装着時に違和感がある
噛む力が低下する
定期的な調整が必要

入れ歯は、装着時の違和感が少ないように、使い慣れるまで時間がかかることがあります。

また、食べ物が入れ歯の下に入り込むことがあるため、こまめな清掃が必要です。

ブリッジ

ブリッジは、抜歯した歯の両隣の歯を支えにして人工の歯を装着する方法です。固定式のため、取り外す必要はありません。

以下にメリットとデメリットをまとめました。

メリット デメリット
見た目が自然で固定式
治療期間が比較的短い
保険適用が可能
隣接する歯を削る必要がある
支えとなる歯に負担がかかる
支えの歯が健康でない場合は不適

ブリッジは、確実に固定されるため噛む力が安定します。しかし、支えとなる歯を削るため、健康な歯にダメージを与えてしまうことが難点です。

また、ブリッジの下に食べ物が詰まることがあるため、食事後は口腔内の清潔さに気を遣います。

インプラント

インプラントは、顎の骨に人工の歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する方法です。もっとも自然な見た目で機能性がよいことが特徴です。

以下にメリットとデメリットをまとめました。

メリット デメリット
見た目が自然で、噛む力が強い
隣の歯に負担がかからない
長期的な耐久性が高い
費用が高額
外科手術が必要
治療期間が長い

インプラントは、天然歯のような見た目と噛み応えがあるため、長期間、口腔状態を健康に保つのに適しています。

しかし、手術が必要なため、全身の健康状態によっては治療が難しい場合も。

また、定期的なメンテナンスが必要で、通院費もかかります。

虫歯の抜歯に必要性を感じたら、早めに受診しましょう

虫歯が進行すると、歯の大部分が失われたり、歯根にまで達してしまったりすることがあります。このような場合、抜歯しなければ、周囲の歯や歯茎に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。万が一、抜歯することになった場合は、治療直後のケアにも気を遣いましょう。

なお、「あきもと歯科」では国際口腔インプラント学会認定医が、患者様ファーストで新しい治療を提案いたします。インプラントを視野に入れている方は、ぜひご相談ください。

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