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虫歯の進行速度はどのくらい?年代や歯質による違いを解説

虫歯の進行速度はどのくらい?年代や歯質による違いを解説

虫歯の進行速度はどのくらいなのでしょうか。

年代や歯質によって、虫歯の進行速度が変わります。
虫歯にならないために、「虫歯が悪化しやすい習慣」と「虫歯を予防するための習慣」を紹介します。

虫歯の進行度合い

虫歯の進行度別に治療費用をまとめました。

進行度合い 歯の状態
初期(C1) エナメル質が溶ける
中等度(C2) 象牙質に達する
重度(C3) 神経に達する
末期(C4) 歯根だけ残った状態

虫歯の原因は虫歯菌が糖を養分として取り込んだあと、酸性の排泄物をだすことでその酸が歯質を溶かし虫歯になります。

進行度合いごとに虫歯の状態と治療例もあわせて解説していきます。

初期(C1)エナメル質が溶ける

初期(C1)の虫歯の進行状態は、歯の表面の硬いエナメル質の部分が溶けた状態のことです。
痛みのような症状を覚えることはないものの、冷たい食べ物を食べた際に染みた感覚を覚える場合があります。

エナメル質の虫歯には、まずは保護のためにフッ素塗布などの予防処置を行います。その後、歯の表面を削り、詰め物をします。
虫歯が浅い場合には非常に有効で、治療期間も短く済むことが多いです。

中等度(C2)象牙質に達する

中等度(C2)の虫歯の進行状態は、エナメル質の虫歯が放置されると、エナメル質の内部にある象牙質も溶けて穴が開いてしまいます。
ときどき痛みを感じることがあるほか、甘い食べ物や冷たい食べ物を口にした際に染みた感覚を覚える場合もあります。

象牙質の虫歯は、エナメル質の虫歯よりも深い部分が溶かされているため、神経にも影響を及ぼす可能性が高くなります。

象牙質の虫歯に対する治療法は、エナメル質の虫歯と同様に詰め物をする方法が一般的ですが、虫歯の進行度に応じて、神経を取り除く根管治療が必要な場合もあります。

重度(C3)神経に達する

重度(C3)の虫歯の進行状態は、神経にまで達している状態で、炎症が起き、激しい痛みを伴うことも多いです。
また、熱い飲食物を口にした際に歯が染みるようにもなります。

歯髄に達した虫歯の治療方法として根管治療があります。
根管治療は、歯髄内の細菌や死滅した組織を取り除き、その後、根管内を清掃し、充填材を挿入する治療方法です。
麻酔下で行われるため、痛みはほとんどありません。治療期間は1回で終わることもありますが、状態によっては2回以上に分けて治療を行うこともあります。

末期(C4)歯根だけ残った状態

末期(C4)の虫歯の進行状態は、歯根だけ残った状態です。
虫歯が歯の根元にまで達しており、神経は死んでしまっている状態です。
神経が死んでいることから痛みを感じなくなっていますが、歯の根元に膿がたまると、再び痛みを感じるようになります。

歯周病の治療に似た方法で、歯周ポケットにある歯石やバイオフィルムを取り除き、歯根表面をきれいにしたあと、歯根面を削り、充填材を挿入する治療方法があります。
歯根に達した虫歯の治療は、根管治療と比較して、より複雑で時間がかかることがあります。また、治療後に痛みを伴うことがあるため、麻酔や痛み止めを使用することがあります。

歯根に達した虫歯は早く治療することが重要です。治療が遅れると歯を失うことになります。

【条件別】虫歯の進行速度

虫歯の進行速度は、「年代」「乳歯と永久歯」「エナメル質と象牙質」のように、条件によって進行速度が違います。条件別に解説していきます。

年代による進行速度の違い

虫歯の進行速度は、年齢によっても変わってきます。

永久歯の進行速度は、一般的に年齢が25歳以下であるか25歳を超えているかによっても異なります。歯の表面にあるエナメル質という成分がしっかりと完成するのは、25歳であるためです。

25歳以下では、永久歯にあるエナメル質がまだ完成しておらず、柔らかい状態となっているため、虫歯が速く進行してしまいます。
目安として、25歳以下の方はC1が半年ほどでC2に変わります。

25歳を超えた方のエナメル質は完成して硬くなっているため、比較的遅いスピードで進行するようになります。
目安として、C1がC2に変わるまでには、半年から1年ほどかかります。
また、年齢が高くなるほど全身の代謝が低下してくるため進行速度が遅くなってきます。

年代によ乳歯と永久歯の進行速度の違い

虫歯の進行速度について考える際には、乳歯と永久歯を分ける必要があります。
乳歯は、永久歯よりも歯質がやわらかいため、虫歯の進行スピードが速いです。

極端なケースでは、1〜2週間でも目に見える変化が認められます。
しかも乳歯のエナメル質と象牙質は、永久歯の半分の厚みしかありません。
つまり、虫歯が神経にまで達するのも比較的早くなってしまいます。

また、生えたばかりの永久歯は、まだエナメル質が成熟していません。
乳歯ほどやわらかいわけではありませんが、虫歯の進行スピードは比較的速いです。

エナメル質と象牙質の進行速度の違い

歯の見えている部分で、白くつやつやしている部分をエナメル質、その下のやや黄色っぽい色をした部分を象牙質といいます。
この2つは「歯」として一体になって働いていますが、もともとの性質は全く異なっており、エナメル質はつめや髪の毛の仲間で、象牙質は骨の仲間です。
エナメル質は、からだの中で一番硬く、主にカルシウムやリンなどの無機質からできています。爪や髪の毛を切っても痛くないのと同様、それ自体は虫歯になっても痛みは感じません。

虫歯の進行は、エナメル質(C1)から象牙質(C2)になるのに半年から1年かかります。
一方、象牙質は、歯髄から栄養をもらっている生きた組織です。結晶とコラーゲンでできており、エナメル質より柔らかく、虫歯になりやすい構造をしています。

象牙質(C2)になってからは進行速度が速まり、神経まで届く虫歯(C3)になるのは、その倍くらいのスピードです。

虫歯が悪化しやすい習慣

虫歯の進行速度は、食生活や生活習慣が大きく影響しているようです。

十分な歯磨きができていない

毎日の歯磨きを正しい方法で行っていないと、歯垢や歯石が堆積して、虫歯の進行速度が速まります。
お口の中は磨きにくい「奥歯」「歯と歯の間」「前歯の裏側」など汚れが残りやすい部分があります。
そのため、歯ブラシだけで毎日磨いても60%程度しか汚れが落とせないといわれています。

この落としにくい汚れを除去するには、「歯間ブラシ」と「デンタルフロス」を併用すると、歯垢除去率がアップします。
歯間ブラシとデンタルフロスは歯と歯の汚れを落とすデンタルグッズですが、お口の状態によってどちらを選択するか変わってきます。

デンタルグッズ 利用について
歯間ブラシ 比較的歯と歯茎の境目のすき間がある場合に使用することをおすすめします。
サイズもメーカーによって少し異なりますが、3〜5種類程度あります。
サイズ選びが重要で、歯ぐきのすき間より大きい歯間ブラシを使用してしまうと歯ぐきを傷めて退縮する可能性があるので注意してください。
デンタルフロス いくつか種類があり、持つ部分がついているホルダータイプは、真っすぐになっている「I字型」と曲がっている「L字型」があります。
また、糸巻タイプは、最初は少しコツが必要ですが、慣れてくると簡単に歯と歯の間の汚れを除去できコストを抑えられます。

間食が多い

歯垢の中は1日のうちで、「酸性」になったり「中性」に戻ったりを繰り返していて、それにともない歯の表面のエナメル質からミネラルが出入りしています。

ミネラルが溶け出す酸性の状態が続くと、歯に穴が開いて虫歯になってしまいます。
間食が多いと歯垢の中が酸性になっている時間が長くなり虫歯が悪化しやすいです。
食事や間食をするたびに、歯垢の中の酸性度を示す「pH」も変化し、「酸性」、「中性」と変化しています。

お口の中は、以下のような①〜⑤の変化が繰り返されています。

進行ステップ 内容
①虫歯菌が酸をつくる 歯についた歯垢は本来中性ですが、虫歯菌のつくった酸により酸性に変化します。
③歯の表面の「脱灰」が進む 酸の作用により、時間の経過とともに歯の表面のエナメル質からカルシウムやリンなどのミネラルが唾液中に溶け出します。
④歯垢の中が中性に戻る 間食しない時間が続くと、やがて唾液などにより酸が洗い流されたり中和されたりして、歯垢の中は中性に近い状態に戻ります。
⑤歯の表面が「再石灰化」する エナメル質から唾液中に溶け出したミネラルは再び歯に取り込まれて沈着します。

なるべく間食は控えるようにしましょう。

虫歯を予防するための習慣

虫歯を予防するためには、「虫歯が悪化しやすい習慣」を改める必要があります。
その他に虫歯を予防するには、「正しい方法で歯磨きをする」、「定期的に歯医者で検診を受ける」を習慣づけることが大切です。

正しい方法で歯磨きをする

虫歯を予防するため正しい方法で歯磨きする必要があります。

歯ブラシの基本的な持ち方は、大きく分けて2つ。
鉛筆を持つときのような「ペングリップ」と、手のひらで握るように持つ「パームグリップ」があります。
磨く部位に合わせて、磨きやすい方法で持つと良いでしょう。
どちらの持ち方でも、ハブラシをギュッと強く握らないように。軽く持つことが大切です。

歯磨きには次の「3つの基本」があります。
基本を意識して、1カ所あたり20回程度を目安に丁寧に磨きましょう。

  • 毛先は歯面(歯と歯茎の境目、歯と歯の間)にきちんとあてる
  • 150~200グラムの軽い力(毛先が広がらない程度)で磨く
  • 小刻みに動かす(5~10ミリを目安に1~2歯ずつ磨く)

歯は立体的で複雑な形をしているため、毛先が歯面に垂直に当たるよう角度を工夫しながら、ハブラシの「つま先」「わき」「かかと」を上手に使って、歯の隅々まで磨きましょう。
奥歯は歯ブラシの「つま先」で磨く。
側面は歯ブラシの「わき」で磨く。
手前側は歯ブラシの「かかと」で磨く。

定期的に歯医者で検診を受ける

歯医者は痛くなったら治療するところというイメージがあるかもしれませんが、最近は定期的なメンテナンスとセルフケアが大切という認識が広がり、「治療する」から「予防する」へと意識が高まってきています。
歯科の定期検診は、虫歯や歯周病といったお口の病気を予防する上で非常に有効ですが、お口の中を健康に保つためには、どのくらいの頻度で検診を受けたらいいのか迷ってしまいます。
最近では1年に3〜4回の歯の定期検診が一般的になりつつあります。
歯の定期検診では以下のことを行うようです。

検診項目 内容
問診と歯茎のチェック 歯茎の炎症の状態をチェックします。口臭がある場合は虫歯や歯周病の可能性があります。同時に痛むところなどはないか、日頃からご自身で気になっていることや困っていることがないか伺います。
歯茎の検査 歯垢、歯石のつき具合、歯茎の炎症の有無、歯周ポケットの深さなどの腔内環境についてチェックし説明します。
歯垢の染め出し 歯垢が染まる薬剤を歯に塗り、歯垢がついている部分と染まっている色をチェックします。染まっている部分が多く歯磨きで歯垢が落としきれていない場合は、普段どのようなセルフケアをしているか、どんなものを使っているかお聞きします。
歯のクリーニング
歯石取り
染まっている部分(歯垢)をきれいに落としていきます。歯石や着色による汚れも取っていきます。
フッ素塗布 フッ素塗布(またはフッ素のうがい)を行います。フッ素は虫歯を防ぎ、歯質の強化に効果があります。

虫歯の進行と予防

条件別の虫歯の進行速度を解説し、「虫歯が悪化しやすい習慣」と「虫歯を予防する習慣」を紹介してきました。
虫歯は自然に治らない病気です。
虫歯になってしまう仕組みや進行速度を理解し、虫歯がない方は虫歯にならないように、虫歯がある方は、虫歯が進行しないような習慣を身につけましょう。

また、子供の虫歯は進行速度が非常に早いため十分に注意を怠らないようにしましょう。

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