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インプラントのメンテナンスはなぜ必要?費用・頻度と怠るリスクを解説

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インプラント治療は「手術完了がゴール」ではありません

インプラント治療という大きな山を乗り越えた時、あるいはこれからその頂上を目指している時、ついこんなふうに思ってしまうかもしれません。「これで一安心。もう歯のことで悩まなくていいんだ」と。

でも、それは大きな、そして、ちょっぴり危険な誤解なんです。

インプラント治療は、例えるなら、ずっと欲しかった素敵な車を手に入れたようなもの。手術の完了は、ゴールテープを切る瞬間ではなく、快適なドライブを楽しむための「納車日」です。そして、その素晴らしいパートナーと長く付き合っていくためには、定期的な点検や洗車、つまり「メンテナンス」が欠かせません。

この記事では、あなたの新しいパートナーであるインプラントを、生涯にわたって大切にし、その価値を守り抜くために、なぜメンテナンスが必要なのか。そして、もしそれを怠ってしまったら…?そんなちょっぴり怖い未来まで、心を込めてお伝えいたします。

横浜で明瞭な料金体系のインプラント治療をお探しの方は「あきもと歯科」へご相談ください

なぜメンテナンスが不可欠なのか?天然歯との決定的な違い

「インプラントは人工物だから、虫歯にならない。だから安心でしょ?」

そう、その通り。インプラントは虫歯にはなりません。でも、だからといってメンテナンスが要らない、ということにはならないのです。なぜなら、あなたのインプラントと、生まれ持った天然の歯には、バイ菌に対する防御力に、決定的な違いがあるから。

その違いとは、歯と骨の間にある「歯根膜(しこんまく)」という、目には見えない存在です。

天然の歯は、この歯根膜という薄いクッションを介して、あごの骨とつながっています。この歯根膜には血管がたくさん通っていて、いわば「警備システム」の役割を果たしてくれています。バイ菌が侵入しようとすると、すぐに免疫細胞たちが駆けつけて、全力で守ってくれるのです。

一方、インプラントは骨と直接ガッチリと結合しています。そのため、この頼れる「歯根膜」が存在しません。防御システムがないため、ひとたびバイ菌の侵入を許してしまうと、炎症は骨に直接、そしてあっという間に広がってしまうという弱点があるのです。

この違いこそが、私たちがあなたのインプラントを、天然の歯以上に気にかけてあげなければならない、一番の理由なのです。

メンテナンスを怠る最大のリスク「インプラント周囲炎」

私たちがメンテナンスで戦っている、最大の敵。それが「インプラント周囲炎」です。

これは、天然の歯でいうところの「歯周病」のようなもの。インプラントを失ってしまう最も大きな原因となる、静かで恐ろしい病気です。

お口の清掃を少しサボってしまうと、インプラントの周りにネバネバした汚れ(プラーク)が溜まり、まずは歯ぐきが腫れる「インプラント周囲粘膜炎」という状態になります。これは、いわば敵からの「警告」。この段階でしっかりクリーニングすれば、また元の健康な状態に戻れます。

でも、この警告を無視してしまうと…。炎症は静かに、でも着実に、インプラントを支える大切な骨へと忍び寄り、骨を溶かし始めます。これが「インプラント周囲炎」です。

何より怖いのは、痛みなどの自覚症状がほとんどないまま進行すること。「なんだか少しグラグラするかも?」と気づいた時には、もう手遅れ…なんてことも少なくありません。天然の歯の歯周病よりも進行が速いのも特徴で、最終的には、あなたのインプラントを支えきれなくなり、抜け落ちてしまうのです。

歯科医院で行うプロケア(定期メンテナンス)の内容

ご自宅での歯磨きだけでは落としきれない、頑固な汚れの膜(バイオフィルム)。それを剥がし、インプラントの健康状態を隅々までチェックするのが、私たちプロの役目です。インプラントの「人間ドック」だと思って、お任せください。

  • インプラントの健康診断:
    「グラグラしてないかな?」「歯ぐきは腫れてないかな?」と、インプラントの状態を優しく丁寧にチェックします。
  • 骨のレントゲン撮影:
    目には見えない、インプラントを支える骨が痩せていないか、定期的にレントゲンで確認。「縁の下の力持ち」である骨の健康を守ります。
  • プロによる徹底クリーニング:
    歯医者さんや衛生士さんが、インプラントを傷つけない特別な道具を使って、普段の歯磨きでは届かない隙間の汚れまで、ツルツルピカピカに磨き上げます。
  • 噛み合わせのバランス調整:
    お口の中は、日々少しずつ変化します。インプラントに無理な力がかかっていないかチェックし、必要であれば微調整。インプラントが長持ちするための、大切なひと手間です。
  • 歯磨きのアドバイス:
    「ここの部分、もう少しこう磨くとバッチリですよ!」といった、あなた専用のセルフケア術を、一緒に見つけていきます。

メンテナンスの頻度と費用

インプラントのメンテナンスは、病気の治療ではないため、健康保険は使えません。

  • 通う頻度の目安:
    あなたのお口の状態にもよりますが、3ヶ月から半年に1回が基本です。年に数回、美容院に通うような感覚で、お口の健康を守りに来てください。
  • 費用の目安:
    クリニックによって様々ですが、1回あたり5,000円〜10,000円ほどが一般的です。この費用は、単なる出費ではありません。将来、何十万円もかかるかもしれない再治療を防ぐための、最も賢い「未来への投資」であり、「お守り」だと思いませんか? もちろん、医療費控除の対象にもなりますよ。

【重要】メンテナンスと「5年保証」の関係

あきもと歯科では、あなたに安心して治療を受けていただくために、「5年間」という長期のインプラント保証制度をご用意しています。

ただし、この保証という「お守り」が力を発揮するためには、一つだけ大切なお約束があります。それが、「私たちがお願いする定期メンテナンスに、きちんと通い続けていただくこと」です。

なぜなら、インプラントの輝かしい成功率は、適切なメンテナンスがあって初めて成り立つものだから。例えば、世界で最も信頼されているストローマン社のインプラントは、10年後も98.8%が問題なく機能しているという驚異的なデータがあります。でも、それは適切なメンテナンスを続けてきた人たちの物語なのです。

定期メンテナンスは、あなたのインプラントを守るだけでなく、高価な治療で手に入れたあなたの「大切な資産」の価値を守るための、私たちとの絆でもあるのです。

ご自身で行うセルフケアのポイント

プロによるメンテナンスと、あなた自身による毎日のケア。この二つが車の両輪となって初めて、インプラントは快適に走り続けます。インプラントの周りは、実は汚れがたまりやすい隠れ家のような場所。ぜひ、この「三種の神器」を毎日の習慣にしてみてください。

  • 歯ブラシ:
    柔らかい毛先のもので、インプラントと歯ぐきの境目を、まるで赤ちゃんを撫でるように、優しく丁寧に磨いてあげてください。
  • 歯間ブラシ・
    デンタルフロス:インプラントの側面や、お隣の歯との狭い隙間は、歯ブラシだけでは絶対にキレイにできません。歯間ブラシやフロスは、あなたの頼れる相棒です。
  • タフトブラシ:
    鉛筆の先のように、毛先がキュッとまとまった小さなブラシ。インプラントの根元の周りなど、「あとちょっとが届かない!」という場所をピンポイントで磨くのに、最高の仕事をしてくれます。

定期メンテナンスで、インプラントの価値を生涯守りましょう

インプラントは、失ったものを取り戻すだけでなく、これからのあなたの人生を、もっと豊かに、もっと笑顔にしてくれる素晴らしいパートナーです。

でも、その未来は、治療が終わった後のあなたの「愛情」にかかっています。「インプラントだから大丈夫」と油断せず、ご自身の歯以上に大切に、丁寧にケアを続けること。それが、パートナーと生涯を共にするための、たった一つの約束です。

静かなる敵「インプラント周囲炎」から、あなたの大切なパートナーを守り、美味しいものを美味しく食べ、心から笑える毎日をずっと、ずっと続けるために。

私たちあきもと歯科にとって、インプラント治療は「長いお付き合いの始まり」です。いつでも、どんな些細なことでも、あなたの不安に寄り添います。一緒に、あなただけのメンテナンスプログラムで、大切なインプラントを守っていきましょう。

横浜のインプラント治療なら「あきもと歯科」

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