Column
インプラントを入れたけど、違和感がある……いつ慣れるの?
インプラントの手術は、主に局所麻酔をかけた上で、歯茎を切開し、骨に穴を開けて金属を埋め込みます。そのため、術後にはどうしても痛みや違和感を覚えることがあります。
特に、初めてインプラント治療をされる方にとっては、どうしても違和感が気になり、「いつになったら慣れるのだろう……」と不安に感じることも少なくありません。
そこで本記事では、インプラント治療後に違和感を覚える理由や、違和感を覚えた場合の対処法などを詳しく解説します。
目次
インプラント治療後に違和感を覚える理由
インプラント治療後に違和感を覚える理由は、どうしても避けようのないものと、何らかの不具合によって生じているものがあります。
主に次のような理由から手術後に違和感を覚えることが考えられます。
インプラント周囲炎を発症している
インプラント周囲炎は、インプラント周辺に細菌が感染することで発症する症状です。初期段階では歯茎の腫れや出血などの症状が現れますが、放置すると徐々に進行し、インプラントがぐらつくようになります。さらに悪化すると、顎の骨が溶けてインプラントが抜け落ちてしまうこともあります。
この深刻な合併症を防ぐためには、日々のセルフケアが非常に重要です。通常の歯磨きに加えて、歯間ブラシやデンタルフロスを使用し、インプラント周辺の丁寧な清掃を心掛けましょう。
かみ合わせが悪い
かみ合わせに問題がある場合、インプラント体や歯茎といった周囲の組織に大きな負担がかかることがあります。そして過度な負担がかかり続けることで、圧迫感を覚えることがあるでしょう。
またインプラントに装着する人工歯も、天然歯と同様に長期間使用することで摩耗します。さらにジルコニアのような天然歯よりも硬い素材を使用した場合も、周囲の歯や対面する歯がすり減り、かみ合わせが変わってくることもあるため、マウスピースで歯を守るケースもあります。
インプラントを固定するネジがゆるんでいる
インプラント治療では、顎の骨に埋め込んだインプラント体と呼ばれる部品と人工歯を、アバットメントと呼ばれる部品で連結して取り付けます。このアバットメントがゆるんでいると、インプラント自体がぐらついているわけではありませんが、何かを食べたときや口を動かしたときに違和感を引き起こす可能性があります。
ネジがゆるむのは、かみ合わせが合っておらず、歯に偏った負担がかかるためです。この場合は、インプラントのネジを締め直すことで改善するケースが多いでしょう。
治療直後で患部がダメージを受けている
インプラント治療では、歯茎を切開し、顎の骨に穴を開けてインプラントを埋め込みます。麻酔を使用していても、身体には負担がかかるため、手術直後は違和感を覚えることがあります。
また顎に痺れや麻痺している感覚がある場合は、手術の過程で神経が傷付いた可能性があるため、すぐにクリニックに相談しましょう。
まれではありますが、インプラントを埋め込む際にドリルの熱で骨が損傷することもあります。通常、手術は冷水を使って骨を冷やしながら進めますが、ミスがあると骨との結合を阻害する原因になります。
インプラントが適切に埋められていない
インプラント手術の際にインプラントが適切に処理されておらず、埋入位置や角度が適切でない場合、噛み合わせが悪くなり、人工歯が他の歯や神経に当たることで違和感を覚える可能性があります。
例えば、上顎の歯根部には上顎洞(じょうがくどう)と呼ばれる空洞があります。上顎が薄く、インプラント治療中にインプラントの先が上顎洞を突き抜けてしまった場合、上顎洞で炎症が起こり、蓄膿症のような症状が起こることもあるのです。
インプラントが適切に埋められていないことで違和感が生じている場合は、インプラント体を除去したり、再手術が必要になったりすることもあるため、早めの対応が必要です。
インプラントの違和感に慣れるにはどれくらいかかる?
インプラントと骨が結合するまでは1.5~3カ月 程度かかり、インプラントが完全に顎の骨と結合すると、アバットメントと呼ばれる部品を結合します。この状態で歯肉が治癒するのは、個人差があるものの3~6週間程度です。
また治療後は、手術部位の腫れや痛みが1〜2週間程度続くことがあります 。これは手術による組織の損傷に対する身体の正常な反応であり、治癒過程の一部です。
腫れは通常、手術後3〜4日 でピークに達し、その後徐々に引いていきます。1週間程度で腫れの大部分は引き、2週間程度でほぼ消失します。痛みについても、手術後数日で徐々に和らぎ 、1週間程度でほとんど気にならなくなることが多いです。
そして違和感なく人工歯でモノを噛めるようになるには、上顎と下顎によっても異なりますが、大体3~6カ月 といわれています。ただし、回復の速度は人によって異なります。手術後の腫れや痛みが長引いたり悪化したりする場合は、感染などの合併症の可能性があるため、すぐに担当の歯科医師に相談し、適切な処置を受けることが重要です。
インプラントに違和感がある場合はどうすれば良い?
インプラントに違和感がある場合は、前述のように何らかの原因があることが考えられます。対処法としては主に次の通りです。
早めにクリニックを受診する
インプラント治療後は、多かれ少なかれ違和感はあるものですが、歯茎の腫れや出血がある場合には、インプラント周囲炎によって細菌感染を引き起こしている可能性があります。早めにクリニックを受診しましょう。
早期に原因が見つかることで、簡単に対処ができ、インプラントを長持ちさせることにもつながります。また違和感をそれほど覚えていなくても、小さなトラブルが起こっていないか、自分自身で小まめに手術した周辺をチェックすることも大切です。
インプラントに力が加わらないように注意する
インプラントは、先述の通り埋入後すぐに骨と結合するわけではなく、きちんと骨と結合して安定するまでには1.5~3カ月程度かかるものです。この期間にインプラントやその周辺組織に衝撃が加わると、その結合部分に支障が出る恐れがあります。
そのためインプラントに何らかの違和感を覚えている間は、インプラント周辺に強い衝撃や負担をかけないようにしましょう。気になって患部を触れたくなることもあるかもしれませんが、なるべく触れないように心掛けてください。
再度手術をする
インプラント体が適切に埋め込まれていない場合には、埋め込んでいたインプラント体を取り除き、正しい位置に埋め込むための再手術が必要になることがあります。
再手術の場合も外科手術となるため、患者の負担が大きく、新しく埋め込んだインプラント体と顎の骨が結合するまでに時間がかかるなどの問題が懸念されるため、まずはクリニックに相談しましょう。
インプラント治療後の違和感を和らげる方法
インプラント治療後の違和感は時間とともに和らいでいくものですが、間違ったケアの方法を続けていると違和感が長引いてしまう可能性があります。
そこで以下では、インプラント治療後の違和感を和らげる方法をご紹介します。
毎日歯磨きを行う
インプラントを埋入した直後は、手術部位がデリケートな状態になっています。そのため歯磨きやうがいを再開するタイミングは、歯科医師の指示に従うようにしましょう。無理に自己判断で口腔ケアを行うと、治癒の妨げになる可能性があります。
歯科医師の許可が出て、毎日の歯磨きが可能になったら、インプラント周辺を丁寧に清掃することが大切です。インプラントは天然歯と比べて汚れが付着しやすい構造をしており、特にインプラントと歯茎の境目は歯垢がたまりやすい場所です。これらの部分をしっかりと清掃し、汚れを取り除くことがインプラントの長期的な健康維持につながります。
なお、歯ブラシだけでは汚れを落としきれない部分は、歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、より効果的に清掃できます。
喫煙や飲酒を控える
ニコチンは歯肉の血管を収縮させ、血流を低下させることがあるため、手術をした部分の治癒を遅らせる原因となる可能性があります。そのためインプラント治療をするのであれば、同時に禁煙をすることが望ましいでしょう。
またアルコールは血行を促進する作用があるため、炎症を悪化させたり、痛みや出血の引き金になったりすることもあります。さらに、アルコールは薬の効果を阻害するリスクもあるため、術後少なくとも1週間はアルコールの摂取は控えた方が良いでしょう。
食事に気を付ける
インプラント治療後に違和感があるときは、インプラントに過度の負荷がかかるような食事は避けましょう。硬いせんべいやナッツ類などは避け、柔らかくて噛みやすいものを選びましょう。
また刺激物の摂取もできるだけ避けたいところです。カレーなどの香辛料が多く入っているものや熱い飲み物なども避けましょう。
激しい運動や長い入浴を避ける
インプラントが骨に結合するまでの期間は、激しい運動や長い入浴は控えましょう。なぜなら運動や入浴による血液の促進が、痛みや違和感を引き起こす可能性があるためです。
また顎の強打や他人との接触でインプラントに衝撃が加わると、骨とインプラントがうまく結合できなくなることもあるため注意しましょう。
気になる症状があれば早めに相談を
インプラント治療は歯茎を切ったり骨を削ったりするため、術後は腫れや痛みなどが起こるものです。1週間程度違和感を覚えることも珍しいことではありません。気になる症状がある場合は、我慢をせずに早めにクリニックへ相談しましょう。
あきもと歯科では、大学病院所属のインプラント認定医が、明瞭な料金体系で治療を行っています。使用するインプラントは10年後の生存率が98.8% と高く、長期にわたって安定性が期待できるストローマン社製の物を使用しています。
インプラントのことでお悩みなら、あきもと歯科までお気軽にご相談ください。
インプラントについてのご相談はこちら